猫って、家の外で 何をしてるのでしょうか?
ネコのだんまりの あとをつける ぼく。
何を見たのでしょうか?
ある日、ネコのだんまりが 出かけた。
ぼくは、あとを ついていった。
近くの空き地で、おおきな椅子のむこうに 隠れただんまり。
すると、
椅子から出てきたのは、男の人?
あれ、
でも変。
「だんまりだ!」
まちがいなく、だんまりだ。
だんまりの後を 自転車で追う ぼく。
ぎーこ ぎーこ
ぎーこ ぎーこ
車をゆっくり 走らせるだんまり。
ぶるるるー だだだだー
ぼくも ぎーこ ぎーこ。
着いたのは、猫の街。
みんな、
耳が つんつん、しっぽが ゆらーり。
だんまりは、並木道を 歩きだした。
ドレスを着たおねえさんと、レストランで 食事をしています。
「あれは おむかいの タマじゃないか」
おとなランチを 食べている。
食事をおえると、
だんまりとタマは、腕を組んで 映画館にはいっていく。
映画は、ねこの西部劇。
おたずねねこと カウボーイねこの 真昼の決闘。
にゃーにゃー ぎゃーぎゃー おおさわぎ。
「まけるな まけるな」と ぼくが大声を はりあげると、
ねこたちは、みんな びっくり。こちらをふりむく。
「な、ね、なにゃ!」
「な、にゃ、にゅああ?」
「のあ~ん! にゃ~あん!」
「▢✕△○ …… ごろごろにゃ!」
「な、ぬ、にゃああ!」!
ぼくは、おそろしくなって にげだした。
にげろ、にげろ、にげろ。
しばらくして、
だんまりは なにごとも なかったように 帰ってきた。
でも、
寝ころんだ ぼくのお尻を、
しっぽで ぺんとたたいた。
「もう、ついてきちゃ だめですよ」って、いうようにね。
・・・
猫って、家からでて どこへ行くのでしょうか。現実の猫たちにも、絵本の「だんまり」のように 彼らの世界がきっとあることでしょう。
「ぼく」の世界のとなりに「だんまり」の世界がありました。だんまりの世界とぼくの世界は地続きです。日常と非日常は、絵本のなかで「而二不二」です。現実と非現実は、二つであって二つでないファンタジーの絵本ですが、妙に現実感があるファンタジーです。
「もう、ついてきちゃ だめですよ」っていう言葉は、ぼくたち(だんまり)の世界を尊重してね、と言っているようです。
ささめやゆきさんの猫たちの絵がおもしろい。見返しにも、たくさんのねこが描かれています。
・・・
※『だんまり』 戸田和代作、ささめやゆき絵、アリス館 2008年 (2022/12/22)