表紙は、
ゆうじの「ひこうき」と
きつねの「そらいろのたね」を交換する場面です。
ここからおはなしが始まっています。
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「いいひこうきだなあ! そのひこうきを ちょうだい」
「あげないよ」
ひこうきは、ゆうじの宝物です。
「ぼくの たからものと、とりかえて」
きつねは、「そらいろのたね」をだしました。
・・・
ゆうじは、
「ひこうき」と「そらいろのたね」を交換しました。
そして、庭のまんなかに植えました。
つぎの朝、
まめぐらいの そらいろのいえが でてきました。
「うちが さいた! うちが さいた!」
ゆうじが水をかけると、
そらいろのいえは、少しずつ大きくなっていきます。
ひよこ
ねこ
ぶたが遊びにきます。
そらいろのいえは、どんどん大きくなっていきます。
・・・
ゆうじも家にはいりました。
たろう、はなこ、しげる、ひろし、くみこもきました。
うさぎ、りす、はと、いのしし、たぬき、ぞうの親子もきました。
そらいろのいえは、お城のようです。
「ぼくも いれて!」
「わたしも いれて!」
町じゅうの子ども、森じゅうの動物もやって来ます。
(ぐりとぐらもいますよ)
・・・
「そらいろのたね」を交換したきつねが、やってきて、いいます。
「おーい、このうちは ぼくのうちだからね。だまっては いらないでよー みんなでていっておくれー」
そして、
みんなを追い出し、
家にカギをかけ、窓をしめました。
・・・
すると、
そらいろのいえは、きゅうに どんどん 大きくなりだしました。
「あ、たいへん! おひさまに ぶつかる!」
いえが、大きくゆれ、
そらいろの はなびらが ちるように、
屋根も
壁も
窓も
くずれはじめました。
・・・
そらいろのいえは、もう どこにもありません。
「そらいろのたね」と書いた画用紙があるだけです。
その横で、
目をまわした きつねが のびていました。
『そらいろのたね』は、1967年に出版されました。 Σ(´∀`;)
また、「そらいろのたね」から出てきたのは、なんと「そらいろのいえ」です!
Σ(゚д゚lll)!!
子どもたちは、「そらいろのたね」から「そらいろのいえ」が出てくることを素直に受け入れるんでしょうね。
「そらいろのいえ」を独り占めにしようとするきつねの独占欲は、子どもの心そのものです。おはなしのなかに譲り合うことの大切さといった内容が含まれていますが、きつねの行為の結果、家がなくなるという形で描がかれています。この結末は、読者に喪失感、あるいは「どうしてなくなったの」と言う不満を与えることでしょう。でも、読者への「問い」の提示でもあります。「きつねはどうしたらよかったの?」と聞いてあげるとよいと思いました。
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※『 そらいろのたね 』中川李枝子文、大村百合子絵、福音館書店 1967年 (2020/7/12)