「 しっぽ 」 と聞いて、
子どもたちは どう思っているのでしょうか。
しっぽって なに ?
なんの役に 立つの?
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「しっぽ」を使った表現-「しっぽをだす」「しっぽを掴む」 「しっぽをふる」「しっぽを巻く」。あまりよいイメージではありません。
しかし、この絵本の題名は、『しっぽのはたらき』。 しっぽに「はたらき」があるというのです。
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表紙に、しっぽらしいものが果物にまきついています。
いったい 誰のしっぽ でしょうか。
この絵本の場合、表紙から中表紙をとばして、 第1画面にいきましょう。この方がイメージの流れに中断がありません。
そこに、くもざるがいます。
くもざるのしっぽは、
手のような はたらきをして食べ物をとっています。
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次からは、「 しっぽ 」 の 様々なはたらき( 機能 )が くりかえされます。
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にほんざる ・・・さる社会の中の力関係を 尻尾がしめす
いぬ ・・・・・・気持ちを 尻尾であらわす
うし ・・・・・・ハエたたたきのようにして ハエや虻を追い払う
りす ・・・・・・からだの つりあいをとる
かんがるー ・・・・からだの つりあいをとる
きつね ・・・・・走る向きを 変える ( かじの役目 )
いるか ・・・・・しっぽをうごかして水中をおよぐ
がらがらへび ・・・音をたてて 身をまもる
かなだやまあらし ・・・ しっぽで敵から 身をまもる
とかげ ・・・・・・・・しっぽを切って 身をまもる
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動物が 生きていくうえで基本的なことは、次の3つのことです。
①.食べること
②.身を まもる こと
③.子孫を のこすこと。
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動物たちはしっぽを使って、
食物をとったり、
身をまもったりしているのです。
「 生きていくために たいせつな しっぽ 」 という主題が強調されています。
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絵本にでてくる動物以外にも、
しっぽ を持った動物がたくさんいます。
きっと、 そのしっぽ も大切なはたらきがあるに違いありません。
また、しっぽだけでなく、
爪、
くちばし、
耳、
手、
鼻 ・・・
生きていくうえで、きっと大切な働きをしているはずです。
薮内正幸さんの絵は、
動物を的確に表現するだけでなく、
動物たちに表情があります。
動物の瞬間の動きを見逃しません。
また、
どの画面も、しっぽが描かれていますが、つぎのページを見るまでは、どんな動物のしっぽなのかはわかりません。絵はなぞなぞ仕立てになっています( 上図 )。
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※『 しっぽの はたらき 』 川田健ぶん、 薮内正幸え、 今泉吉典監修、 福音館書店 1972年
(2013/9/24)