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山寺のこぞっこが、和尚さんからもらった3枚のお札で、山姥から逃れるというはなしです。3枚のお札は、こぞっこの身代わりになり、おおきな川になり、大きな砂山になります。みなさんご存知の昔話です。
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むかし、やまのてらに ちいさな こぞっこがいて、
あるひ、やまへ くりひろいにいったんだと。
こぞっこは、おまえのおばだという人物に出会い、
「こんや、あそびにこいよ」と誘われます。
「それはやまんばだ。いくな、いくな」
と、おしょうさんは止めます。
「いくいく、どうしてもいく」
それならと、
「おふだ さんまいやるから、こまったときには おふだにたのめ」
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おばとは、
やはり、山姥でした。
これから後は、普通の紹介ではなく、雨だれの声、山姥の声であらすじを紹介します。ご負担をおかけしますが、その場面を想像してみてください。
雨だれがうたいます。
こぞっこ あぶねや てんてんてん
こぞっこ あぶねや てんてんてん
やまんばが、にかにか笑いながら、
こぞっこ うまかろ にっかにか
こぞっこ くいてや にっかにか
こぞっこが川をだし、やまんばが川を泳ぐところでは。
なんだかわ こったらかわ
なんだかわ こったらかわ
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こぞっこが山をだし、やまんばが砂山を登るときは。
なんだやま、こったらやま
なんだやま、こったらやま
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お寺に飛びこんできたやまんばは、和尚さんに「おおにゅうどうに ばけられるか」と言われ、「おお、いくらでも」。
たかづく たかづく たかづくよ
たかづく たかづく たかづくよ
納豆にばけられるかと言われ、、
ひくづく ひくづく ひくづくよ
ひくづく ひくづく ひくづくよ
「おお、おお、うまそうな なっとうだ」
和尚さんは、納豆になったやまんばを餅にくるんで、あぐあぐ食べてしまったと。
これでおしまい
しゃーんしゃん
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『さんまいのおふだ』の絵本はいくつかありますが、松谷節の効いたこの絵本を選びました。また、雨だれの声、山姥の声で、あらすじを紹介をしました。ハラハラドキドキ感やダイナミックな展開が伝わらないうらみがありますが、テンポのよい松谷みよ子の節まわしの面白さを際立たせてみました。話の展開にスピード感、怖さがあり、スリル、ワクワク感があります。
また、おはなしの展開に「序破急」を感じました。「芸能における演出上の3区分。「序」は事なくすらすらと、「破」は変化に富ませ、「急」は短く軽快に演ずる。能・舞踊などでいう。」(goo国語辞書)
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※『さんまいのおふだ 』松谷みよ子作、遠藤てるよ絵、童心社 2008年 (2021/9/23)