![](https://ehon.furuhashi-kazuo.com/wordpress/wp-content/uploads/2020/06/-e1591924629852.jpeg)
舞台は遠野。
ごんげ様とは「神楽舞いに使う、木でできた頭のこと」です。
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エピソード.1
ごんげ様を祀る、鱒沢村のある家のはなし。
小正月(1月15日の行事)に、
神楽舞いをよぶと、
じぶんも踊りたいと、ごんげ様は、座敷にでて暴れる。
ごんげ様を
土蔵にとじこめてから、
神楽舞いをはじめることになったという言い伝え。
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エピソード.2
ある神楽組が、
まずしい家に泊めてもらった。
夜半、
軒のはしが燃えている。
すると、
がつがつと、ものを咬む音がする。
見ると、
ごんげ様が、
飛び上がっては、咬み、
飛び上がっては、咬みして、火を消していた。
神楽舞いの一行が、これを見てしまったという話。
![](https://ehon.furuhashi-kazuo.com/wordpress/wp-content/uploads/2020/06/-e1597527582306.jpeg)
エピソード.3
新山神社のお祭りに、
遠野の神楽組がやってきた。
村の神楽舞いの家に泊めてもらった。
一行のごんげ様を
家のごんげ様とならべておいた。
真夜中、
すごい音がする。
ごんげ様が、咬みあって、闘っているではないか。
やがて、
家のごんげ様が、
神楽組のごんげ様の片耳を、食いちぎった。
ごんげ様は、喧嘩をする。
たいていは、片耳が咬み取られる。
しかし、
耳をとられても、御利益は衰えない。
遠野には今も、
片耳のないごんげ様が、たくさん残っている。
![](https://ehon.furuhashi-kazuo.com/wordpress/wp-content/uploads/2020/06/-e1597527837851.jpeg)
「えほん遠野物語」と銘打たれています。
喧嘩をするごんげ様。片耳が咬み取るまでやり、とられた方が負け。しかし、耳を取られても御利益は衰えず火を消してくれます。がつがつと火を咬んでいます。この場面を頭の中にイメージ化にしてみました。迫力があり動きのある映像を楽しみました。
遠野の人たちにとって、ごんげ様は守り神です。
追記です。
「鬼来迎」という仏教劇の伝統芸能が、わたしの故郷・千葉県横芝光町にあります。毎年8月16日に広済寺で行われる伝統的な民間芸能です。因果応報の仏法を描く仮面劇で、地区の人だけで演じます。
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※『えほん遠野物語 ごんげさま』 柳田国男原作、京極夏彦文、軽部武宏絵、汐文社 2018年 (2020/8/16)