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タイトルは「この世界いっぱい」です。
「この世界いっぱい」とはなんでしょう。
何がいっぱいあるのでしよう。
・・・
海辺であそび、
貝をみつけた 父と母と息子とむすめ。
この世界いっぱい、ひろびろと、どこまでも。
ミツバチ、
とうもろこし、
トマト
この世界いっぱい、大地にそだつ。
・・・
樹に、幹に、枝に、葉のしげったてっぺんまで
朝日の空が のぼっていき、
真昼の青空に かわっていく
この世界いっぱい 古くって 新しい。
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この世界いっぱい 大荒れの空もよう
この世界いっぱい 移り変わる
この世界いっぱい 寒くって 暖かい
この世界いっぱい みたされた 静けさ
聴く、匂う、見る、すべてのものが
この世界いっぱい すべてのものが
すべてのものが あなた と わたし
希望すること
平和であること
愛すること
信頼すること
この世界いっぱい わたしたち みんな
![](https://ehon.furuhashi-kazuo.com/wordpress/wp-content/uploads/2019/06/20190608_074806-3.jpg)
人間と人生、自然の讃歌です。
詩的な文章で綴られる、広々とつづく世界、自然の実り・恵み。子どもたちの遊びがある。大荒れの空もきっと晴れるだろう。静かな時があり、みんなで合奏する時間がある。
どのページも、描かれているのは私たちの日常の世界です。大雨が描かれていても、明日の希望が感じられます。生きている喜び、愛するものと一緒にすごす幸福。当たり前であることの幸せに満ちた世界。聴く、匂う、見る、触れることが刺激される世界です。
風を感じさせる絵本のタイポグラフィ。すべてはこの活字のように流れていきます。絵本の世界観は大人のものかもしれません。しかし、子どもも「この世界」に対する満たされた感覚と安心感を感じることでしょう。大人のわたしたちが読みたい絵本があります。この絵本もそのような絵本のひとつです。絵本を実際に手に取って見ることをおすすめします。
2010年のコルデコットオナー賞受賞作品です。
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※『 この世界 いっぱい 』 エリザベス・ガートン・スキャロン作、マーラ・フレイジー絵、長田弘訳、ブロンズ新社、2011年
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【 追 記 】
タイポグラフィー (typography)とは「印刷の体裁上の、文字の書体・大きさ・配列の仕方など視覚効果の総称」 デジタル大辞泉 (2020/4/26)