ふるはしかずおの絵本ブログ3

『この世界いっぱい』- いま、ここにいること、あることのしあわせ

タイトルは「この世界いっぱい」です。

「この世界いっぱい」とはなんでしょう。

何がいっぱいあるのでしよう。

       ・・・

海辺であそび、

貝をみつけた 父と母と息子とむすめ。

この世界いっぱい、ひろびろと、どこまでも。

ミツバチ、

とうもろこし、

トマト

この世界いっぱい、大地にそだつ。

       ・・・

樹に、幹に、枝に、葉のしげったてっぺんまで 

朝日の空が のぼっていき、

真昼の青空に かわっていく

この世界いっぱい 古くって 新しい

この世界いっぱい 大荒れの空もよう

この世界いっぱい 移り変わる

この世界いっぱい 寒くって 暖かい

この世界いっぱい みたされた 静けさ

      

 聴く、匂う、見る、すべてのものが 

 この世界いっぱい すべてのものが

 すべてのものが あなた と わたし

      

希望すること

平和であること

愛すること

信頼すること

この世界いっぱい わたしたち みんな

人間と人生、自然の讃歌です

詩的な文章で綴られる、広々とつづく世界、自然の実り・恵み。子どもたちの遊びがある。大荒れの空もきっと晴れるだろう。静かな時があり、みんなで合奏する時間がある。

  

どのページも、描かれているのは私たちの日常の世界です。大雨が描かれていても、明日の希望が感じられます。生きている喜び、愛するものと一緒にすごす幸福。当たり前であることの幸せに満ちた世界。聴く、匂う、見る、触れることが刺激される世界です。

        

風を感じさせる絵本のタイポグラフィ。すべてはこの活字のように流れていきます。絵本の世界観は大人のものかもしれません。しかし、子どもも「この世界」に対する満たされた感覚と安心感を感じることでしょう。大人のわたしたちが読みたい絵本があります。この絵本もそのような絵本のひとつです。絵本を実際に手に取って見ることをおすすめします。

2010年のコルデコットオナー賞受賞作品です。

       ・・・

※『 この世界 いっぱい 』 エリザベス・ガートン・スキャロン作、マーラ・フレイジー絵、長田弘訳、ブロンズ新社、2011年

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【 追 記 】

タイポグラフィー (typography)とは「印刷の体裁上の、文字の書体・大きさ・配列の仕方など視覚効果の総称」 デジタル大辞泉  (2020/4/26)

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