「とりたいなあ とりたいなあ かさぶた とりたいなあ」
「あっ、かさぶた とっちゃ だめよ!! 」
『かさぶたくん』は、かさぶたについて「ただしく、わかりやすく、おもしろく」説明した科学の絵本です。
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以下のゴシック体のところが、絵本の柱になっています。
「かさぶた」って、知っている?
腕や足、顔にできた「かさぶた」を紹介します。
・すりむいたとき
・こすったとき
・靴ずれしたとき
(みんなもそうだよね。)
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「かさぶた」って、なにで できてるのかな?
「かさぶた」は、「ち(血)」でてきています。
「ち」がかたまったものです。
どのようにして、「かさぶた」ができるのかの説明がありますよ。
「血小板」や「フィブリン」が傷口の「ち」を固めます。
「ち」でできた「きずのふた」が、「かさぶた」です。
「かさぶた」の下は、どうなっているの?
あたらしい「ひふ」がつくられています。
「かさぶた」って、どのようにできるの?
擦りむいたところから、血が出ます。
Σ(´∀`;)
でもだいじょうぶ。
「ち」はかたまるよ。
かたまった「ち」は、「かさぶた」に。
ばい菌を防いでくれる。
「かさぶた」の下では、新しい皮膚がつくられています。
そして、ある程度できると「かさぶた」は自然にとれます。
「かさぶた」がとれた後、ぼくが言います。
かさぶたが なくなっちゃって、ちょっと さみしいなあ。
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すでにブログに書いたことですが、科学の絵本を評価する観点を次の3つに置いています。
1.ただしい 内容と説明。
2.わかりやすい 内容と説明。
3.おもしろい 内容と説明。
『かさぶたくん』は、これにぴったりと当てはまる科学の絵本でした。「かさぶたって、バンソウコウです」ってとても分かりやすい喩えです。また、かさぶたをユーモラスに説明しています。多くの子どもを登場させ、かれらの疑問に答える子ども目線もいいですね。
多くの子どもが登場し発言しています。おかあさん、語り手、かさぶたを説明する人物、かさぶたやばい菌までものを言います。膝をすりむいた子とかさぶたは、「あたらしいひふの こうじは、まだ おわらないのお?」「あと、もうちょっと!!」と会話までしています。そこに「だだいま工事中」と言う説明があります。これらの人物の言葉を、書体や活字の色を変えて表現しています。
子どもたちの発言は、ばらばらですがとてもユニークです。人物たちのさなざまな言葉も「かさぶた」のテーマでまとまっています。多声音楽を表現する音楽用語にポリフォニーという言葉がありますが、その言葉を使って「ポリフォニー的な絵本」とでも言いたいと思いました。
「あっ、かさぶた とっちゃ だめよ!! 」
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※『かさぶたくん』柳生弦一郎作・絵、福音館書店 2000年 (2020/5/10)