スウェーデンのエルサ・ベスコフ ( 1874-1953 ) の絵本です。
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アニカはちいさな女の子。
でも、アニカはとてもおりこうです。自分のことは何でもできます。家のお手伝いもします。
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ある日、おかあさんから、めうしのマイロスの世話をたのまれました。
牧場へ行く途中、
アニカは、おおきな犬に会います。
犬は「こまったことがあったら、助けにいくから」と言ってくれました。
釣りに誘う、ほらふきのウッレ(男の子)にも会いました。
牧場の鍵があけられないとき、おじいさんが手伝ってくれました、
「こんにちは」
アニカは、めうしのマイロスにあいさつをします。
でも、マイロスはクローバー畑へ飛びだしていきました。
柵がこわれていたからです。
犬が、大急ぎでやってきて、マイロスを柵のなかにもどしてくれました。
「ありがとう。やさしい いぬさんね」
「たいしたことじゃ ないよ」
「すぐに、柵をなおさなくちゃ」
藁山に丸太があります。
アニカが、丸太を取ろうとすると-
「やねが つぶれる。ひっぱるな!」こびとの おとうさんが言います。
「ほかの まるたを みつけて、さくを なおしてあげよう」
「ありがとう」
こびとの おとうさんと 五人のこどもたちは、柵を直し始めました。こびとの おかあさんは、アニカのバケツを借りて、マイロスのミルクを搾りたいと言います。パンケーキを作ってあげたいと言うのです。
アニカは言いました。
「いいわ。でも、あんまり いっぱい しぼっちゃ、だめよ」
おかあさんは、お礼に、アニカのバケツに野いちごをいっぱい入れてくれました。
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家にかえり、みんなで野いちごを食べました。
それから、「うさぎのあかちゃんが見においで」と言っていた犬のところに遊びにいきました。アニカは、うさぎの赤ちゃんににんじんをあげました。うさぎの赤ちゃんって どんなにかわいいか、みなさんも知っているでしょう!
ときどき、牧場から、
「モーッ」という、のんびりしたマイロスの声も聞こえてきました。
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スウェーデンの農村地方が舞台です。 エルサ・ベスコフの絵は、『ペレのあたらしいようふく』もそうでしたが、スウェーデンの自然と生活がうつくしく描かれています。また、家のお手伝いをするアニカの人物像が魅力的で、読者の共感をよびます。家族に愛されているアニカです。そして、彼女の仕草や表情がとても自然で可愛らしいのです。
絵本のなかでは、陽がかがやき、 ゆったりとした時間が流れています。こびとの家族が登場するファンタジーの要素もありました。めうしのマイロス、おおきないぬ、ほらふきのウッレ、やさしいおじいさん、こびと、砂でつくったプリン、パンケーキ 、野いちご、うさぎの赤ちゃんなど魅力的な人物やものが巧みにいかされています 。 古典的な絵本(1941年)と言えますが、古びていません。
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※『おりこうな アニカ』 エルサ・ベスコフ作・絵、いしとしこ訳、福音館書店 1985年