おじいちゃんの手紙が、家族のこころを あたらしくします。
クリスマスの夜、
わたし(ミア)は、
毎年、おじいちゃんに もらった手紙を 読みかえします。
子どもたちと 夫も いっしょです。
おじいちゃんの手紙を 要約して紹介します。
小さなまごむすめミアへ
野菜畑で 手伝いをしてくれた
小さかったミア
おおきくなっても、
いつまでも、あの頃の
しあわせなミアで いてほしい
ミアに わかってほしいことが ある
地球は、呼吸する いきもの、
生きものの命は、はかなく もろい
だから、
これ以上 地球を いためてはいけない
ミアも おじいちゃんも
生きている地球の 家族のひとりだ
願うのは、
戦争のない 世界
子どもたちが、いつでもどこでも
きれいな空気をすい、
すきとおった水を 飲むことができる 世界
ひつようなだけ 育て
ひつようなだけ 食べる
もっている物を たがいに 分け合う方法を かんがえる。
貧しい人のいない
新しい時代
人間のせいで
飢饉、水害、山火事がおき、
人間に ふりかかることがない
世界
クジラ、イルカ、ウミガメ、ゾウ、ライオン、オランウータン・・・
どうぶつたちが 自由に、のびのび、すきなようにくらせる
世界
地球のリズムに あわせ、
地球と調和するように 生活すること。
傷ついた地球には、たくさんの 癒しが ひつようだ。
たくさんの 愛もね
おじいちゃんより
手紙を読み終わると、みんな、声をそろえて言います。
メリークリスマス、おじいちゃん
メリークリスマス、みんな
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ミアにあてた、おじいちゃんの慈愛にみちた手紙です。それはミアだけでなく、すべての子どもに向けて送られた手紙です。すべての生きものを愛おしみ、地球環境の問題をどうすべきかをかたり、戦争の惨禍のない社会、みんなが幸せにくらせる未来を願っています。
クリスマスの日に読まれることに特別な意味がありますが、いつでも、どこでも、だれにも、読んであげてほしい絵本です。
また、おはなしの構造は、手紙を読むミアの家族のことが前後にあって、真ん中におじいちゃんの手紙がある、額縁的な構造になっています。読み終わった読者は、ミアの家族と同様に、あたらしい気持ちとこころを感じることでしょう。
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※『おじいちゃんが のこしたものは…』 マイケル・モーパーゴ文、ジム・フィールド絵 佐藤見果夢訳、評論社 2019年 (2024/5/18)