![](https://ehon.furuhashi-kazuo.com/wordpress/wp-content/uploads/2022/03/-2-e1648528776690.jpg)
韓国の民話です。日本の「さるかに」に似たはなしです。
・・・
むかし、
おばあさんが、あずき畑で はたらいていると、
トラが、おばあさんを 食べようとします。
「トラさん、トラさん、
このあずきが実ってから、あずきがゆを1ぱい食べるまで まっておくれ」
「あずきができるころに またきて、食ってやるからな」
おばあさんが、泣いていると、
たまごが、
ころころ 転がってきました。
「ばあさん、ばあさん、なぜ泣くの?」
「トラに 食われてしまうから」
「あずきがゆ、1ぱいくれたら、たすけてあげる」
たまごは、食べ終わったら、灰の中にかくれました。
・・・
おばあさんが、泣いていると、
スッポンが、
ノソノソ はいってきました。
「ばあさん、ばあさん、なぜ泣くの?」
「トラに 食われてしまうから」
「あずきがゆ、1ぱいくれたら、たすけてあげる」
スッポンは、食べ終わったら、水瓶に中にかくれました。
![](https://ehon.furuhashi-kazuo.com/wordpress/wp-content/uploads/2022/04/20220404_170817-2-1024x353.jpg)
このあとは、くりかえしです。
うんち (土間にねそべりました)
きり (土間にぴんと立ちました)、
石うす (戸口の上にぶらさがりました)、
むしろ (庭で寝転びました)、
しょいこ(庭の隅に立ちました)
・・・
トラがやってきます。
「ばあさん、ばあさん、今日こそ食ってやる!」
土間は 真っ暗です。
トラが火をおこそうとすると、たまごが、トラの目をピシャリとひっぱたきました。
トラが、甕に手をいれると、
スッポンが、手を ガブリ。
うんちで、すべり、
きりが、トラのおしりを ブスリ。
石うすが、ドサリと押しつぶしてしまいました。
むしろが、トラを ぐるぐるにして、
しょいこが、それを担いで、川に ドボンと放り投げました。
・・・
たまご、スッポン、うんち、きり、石うす、むしろ、しょいこに助けられ、おばあさんは、いつまでも幸せにくらしましたとさ。
![](https://ehon.furuhashi-kazuo.com/wordpress/wp-content/uploads/2022/04/20220404_170831-2-1024x349.jpg)
韓国の庶民が伝えたはなしです。 「さるかにがっせん」に似ていますが、トラが悪役というところが韓国らしいところです。 ばあさんの身近にあるものたち、たまご、スッポン、きり、石うすが大活躍です。繰り返しのリズムも軽快です。ワクワクドキドキの読書体験で、さいごはスッキリ。
絵はコラージュの技法が使われています。むしろの赤が印象的です。
・・・
※『あずきがゆばあさんとトラ』チョホサン文、ユンミスク絵、おおたけきよみ訳 アートン 2004年 (2022/6/10)