ユーモアがあって、ほのぼのとした「えいっ」。
くまの親子の おはなしです。
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くまのこと
くまのこの とうさんが、
信号が、青に変わるのを待っています。
でも、なかなか 変わりません。
いま、 青にしてあげるから、まってなさい。
それから、ころあいを みはからって、
“ えいっ ”
かけ声ひとつ(?)で、信号の色を 青に変えてしまいました。
くまのこは、びっくり。
うちのとうさんって、すごいんだ。 ( 笑 )
こんどは、
信号の青を、赤に変えると おとうさんは言います。
“ えいっ ”
あれ、黄色だよ。 ( 笑 )
いっぺんに赤だと、みんなが びっくりするからね。( 笑 )
苦しい言い訳です。
つぎは 星。
でも、星をだすところで、大失敗。
星は、信号のようにはいきません。
星ってものは、わがままなんだよ。右っていえば、左にでる。
左っていえば、右にでる。今夜も、そうだったんだよ。
帰り道、
くまのこは、気づきました。
「えいっ」の からくりに。
こんどは、 ぼくが「 えいっ 」をするよ、
大好きなものをだすよ、と言います。
家の玄関で、くまのこは、
“ えいっ ”
おかあさんが 出てきました。
おとうさんは、なるほどと、くまのこに 感心するという おはなしです。
子ども思いのおとうさん。
くまのこは?
とても 賢い人物ですね。
上品な ユーモアがすてきな作品です。絵もあたたかい雰囲気があって、おはなしにぴったりです。
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※ 「 えいっ 」 三木卓 作、 新野めぐみ 絵 ( 『 とうさんの まほう「えいっ」 』所収 講談社 1996年 )
【 追 記 】
息子が小さかったころ、わたしも車の時計で “ えいっ ” をやってみました。「えいっ」と言って、時計の「10」を「11」にするよと言いました。頃合いを見計らって「えいっ!」。時計は「11」にパチッと変わりました。息子はビックリしました。調子に乗ってもう一回。今度は「13」にするよ。でも、数え方が悪くて、なかなか「13」にならず、「えいっ」が「えい---っ」になってしまいました。それでも驚く子どもでした。素直に驚く子になんだか悪い気がして、あとで種明かしをしました。なつかしい思い出です。 (2016/5/13)