ふるはしかずおの絵本ブログ3

『ノックノック: みらいをひらくドア』- 未来に向け、ふみだしなさい

作者の自伝的な話です。

  

    

パパが 

ドアを ノックして、ぼくの 部屋に入る

ぼくは 寝ているふり

そして、パパに とびついて

「おはよう、パパ」

「あしているよ、ぼうず」

      

それが、お決まりの ノックノック・ゲーム

    

    

ある日

ノックの 音が 聞こえない

パパは もういない

おしえて もらいたいことが たくさんあったのに

   

   

 ドリブルの やりかた

 ひげの そりかた

 車の 運転や 修理も

 おしえて ほしいんだ

   

  

 パパ かえってきて

 パパみたいに なりたいんだ

 でも、パパがどんなだったか、忘れてしまいそう

    

    

2か月がたった

パパからの 手紙が 机のうえに あった

     

   

  かわいい むすこへ

     

  わたしは かえれない。

  たくさんのことは おしえられないけど、

  いくつかのことを おぼえてほしい

  

  

  ひげを そるときは、むきを きめて いっきに そる

  ボールだけでなく

  ボールペンでも、すばらしい ドリブルを みせてほしい

    

 

  自分で ノックすることを まなびなさい

  わたしが あけられなかった ドアも

   

  ノックしなさい

  夢に つながる あたらしい ドアを

     

     

  おまえが すばらしい ひとになることは、

  わたしの すばらしい ぶぶんも、

  おまえの なかで いきるということだ。

    

  ノックしなさい

  輝かしい 未来が ひらけることを 信じて

  

  ノックの 音が きこえる

  さあ、誰かな?

    

   おまえだよ

     

             ・・・

「ぼく」と「パパ」の手紙は、要約したものです。息子にあてたパパの愛情あふれる手紙は、絵本で読んでください。また、パパがどうしていなくなったのかは、直接描かれていませんが、作者のダニエル・ビーティは、父親の長期の投獄を経験し、困難な家庭環境で育ちました。

            

投獄、離婚、死などの理由で、父親(母親)の不在と向きあっている多くの子どもがいます。作者は、自分の力を信じ、人生を切りひらいてほしいという願いを、子どもたちに語っています。

       

コラージュの技法で描かれた絵です。

「ぼく」が、紙飛行機の上に乗って、空を飛ぶ構図のコラージュがあります。紙飛行機に上にのる「ぼく」のイメージは、父親の不在による「ぼく」の不安と危うい状況を表現しています。また、「パパ」の手紙の数ページは、「ぼく」が成長し、伴侶と出会い、子どもが生まれた出来事をコラージュ仕立ての絵で表現しています。コラージュは絵画の技法のひとつですが、コリア―は、さまざまなモチーフを組み合わせることに、深い意味を持たせています。

       
          ・・・

※『ノックノック: みらいをひらくドア』 ダニエル・ビーティー文、ブライアン・コリア―絵、さくまゆみこ訳 光村教育図書 2015年  (2025/12/18)

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