
わし、オニでんねん。すんまへん。
楽しいはなしが はじまりそうです。
赤オニの オニガワラ・ケンは、じごくカンパニーの 平社員です。
ネクタイを 締め
スーツを 着て
弁当を もち
家族に 見おくられ
バスにのり、じごくまで 出勤します
じごくに つくと、
えんまだいおうさまに ごあいさつ
「きみ、きょう、ちのいけじごくの かんし たのむわ」
「へーい、かしこまりました」
「オニガワラ、おまえ きょうは、なんの かかりや?」
「ちのいけじごくの みはりやねん」
「えぇなぁ。らくちんやんか」
ちのいけじごくは、まるで プールのようです
オニガワラは、見張り台に のって、
亡者どもを 監視します
昼休みに
あいさい弁当を 食べて
見張り台で グー、グー、スー、スー
コクリ、コクリ・・・
すると
ちのいけじごくに おりてきた 糸を
亡者どもが のぼっていく
「こらあ! いとを のぼるな!
みんな、もどって こおい!」
プツン
いと、きれたぞお!
ひゅーーん
ボッシャーン!

トホホホホホホホ
えんまだいおうに しかられた
もう、あかん
ストレスで ツノ おれそうや
いっぱい 飲んで かえろうか
屋台で、おにごろしロックを のむ オニガワラ
千鳥足で かえる オニガワラです
わし、オニでんねん すんまへん
じごくカンパニー勤めも、苦労たえず、たいへんです。ギャグ満載で、サラリーマン社会をパロディにしています。でも、ラストシーンのオニガワラの背中には、哀感が漂います。
関西弁もこの世界にぴったりです。「あいた・・。おい、だれかの ツノ、せなかに ささってるがな。まったく・・・かなんなあ」。通勤バスのなかのセリフです。
ユーモア、笑いが、いろいろな場面に仕掛けられています。芥川龍之介の「くもの糸」のパロディまでありました。遊び心いっぱいの絵も同様です。
子どもの読者と おとなの読者は、きっと違った読み方をすることでしょう。パロディのなかに、現実のサラリーマン社会への皮肉、笑い、批評があります。そして、なにより、哀愁(ペーソス)、哀感があります。
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※『オニのサラリーマン』 富安陽子文、大嶋妙子絵、福音館書店 2015年 (2026/2/8)









