ふるはしかずおの絵本ブログ3

『ほうきぼしの まほう』- 子どものこころの問題を絵がかたる

町に引っ越しした、ナイラのこころの問題をテーマにしています。

     

     

ここが わたしの おうち

    

     

 木々が たかく しげり

 星を 100個 数えられるの

 ほうきぼしだって、見たことが ある!

 パパが 学校に むかえに きてくれて

 おいしいごちそうや すてきなな おはなしを つくったり

   

 朝は 日の出が 見られ

 昼は たのしく どうぶつごっこ

 夜は 波の音を 聞きながら ねむるの

 

 

でも、まちに ひっこすことになった わたし

 

     

ここは、わたしの おうちじゃない。

    
 

 見えるのは、灰色の 建物

 星が たったの 7つ

 パパは 仕事ばかり

 通りは 人混みで、なんにも 見えない

 あたらしい学校は うるさいどうぶつで いっぱい

 波の音も 聞こえない。

 

 

でも、ある晩 ほうき星を 見た

   

    

地球に 落ちて、光の木に なった

わたしは あとを おいかけ

ほうきぼしに おいついた

魔法の はじまり 

       

 「ナイラ いったい これは なんだ?」

  と、パパがきいた

    

ナイラの部屋は、ほうきぼしが いっぱいです

絵具で 描いた ほうきぼし

   

   

パパは、ナイラの ほうきぼしを 見て

ナイラの こころのうちに 気がつきました

いっしょに 部屋の壁を ぬりかえ

絵を かざり

食事し

本を 借り 

ながれぼしを 見ます  

ナイラは いま お友達と あそんでいます

 

 みんなで、ここを ほんとの おうちに すれば いい!

   

               

ナイラの家庭は父子家庭です。ふたりは、以前の生活で充実した毎日を送っていました。でも、町に引っ越した時、ナイラは、いままでたいせつにしたいたものを失いました。自然やパパとの関係性の喪失といえます。引っ越しは、以前に持っていた関係性を喪失することによって、子どものこころに負担をあたえます。こころの問題を抱えることもあるでしょう。

       

ナイラは、自分の部屋に、ほうき星を描きました。パパとの関係性も、すこしずつ変わっていくことが予感できます。ナイラは、これから新しい友だちと新しい関係を作っていくことでしょう。

       

絵本の絵に、様々な仕掛けや工夫がありました。コマ割り。心理描写。異時同図。絵のファンタジー。絵による説明。現実とファンタジーの対照(上の絵)です。

          

          ・・・

※『ほうきぼしの まほう』 ジョー・トッド=スタントン作、まつかわまゆみ訳、評論社 2023年 (2026/2/18)

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