ふるはしかずおの絵本ブログ3

『きみが 生きる いまの おはなし』- 時間って なんだろう?

「時間」とはなんでしょうか。むずかしい問いをいろいろと考えます

     

      ・・・

   チクタク チクタク 

  時計の音が きこえてくるよ。

   時計や カレンダーの 数字は、時間や

   月日を おしえてくれる。

    

   でも、時間って なんだろう?

   

    

時間は、種かも しれないね。

   

 種から 花へ。

 やがて・・・

 花はしおれ、花びらは おちていく。

  

  

時間は、木かも しれないね。

時間は、クモの巣かも しれないね

時間は、小石かも しれないね

時間は、チョウかも しれないね

時間は、夕日かも しれないね

 

 

 時間は、まどから さしこむ おひさまの 光かもしれないね

 

 

時間は、思い出かも しれないね

時間は、髪の毛が のびることかも しれないね

時間は、いまにも ぬけそうな 歯かも しれないね。

時間は、人の 顔かも しれないね。

 

 

時間は、ゆっくり すすむときもある。

時間は、はやく  すすむときもある。

    

    

時間は、うたかもしれない

時間は、パンの 生地かもしれない

   

   

 時間は、

 じぶんが したことを 

 じっくり かんがえるために あるのかもしれないね

    

    

時間は、ひとつの おはなしかもしれないね

時間は、すすんでいくもの?

ぐるっと まわるもの?

 

   うーん、わかんない

   さあ、ばんごはんの 時間だよ!

    

        ・・・

時間って、いったい何なのでしょうか? 絵本は、様々な例をあげていますが、時間を断定してこれだとは言っていません。「・・・かもしれないね」がくりかえされます。「かもしれないね」ということが、まだまだたくさん考えられるということ。だから、考えてごらん、とすすめているようです。また、「いま」は変わります。「いま」をたいせつにして、と言っているようにも思います。

     

でも、「うーん、わかんない」。時間はやはり謎です。         

     ・・・

※『きみが 生きる いまの おはなし』 ジュリー・モースタッド作、横山和江訳、文研出版  2023年  (2024/6/8)

 

     

【 追 記 】

時間と事物の存在は別物ではなく同じものである、という道元(1200-1253)の時間論です。

  

 「尽界にあらゆる尽有は、つらなりながら時時なり

   

「世界は、多数の存在者が関係性を保ちつつ連結されることで構成されており、時間の流れと感じられるものも、そうした連なりだという。この主張は、現代科学の見解と矛盾しない」(サイエンス・ライターの吉田伸夫さんの解説)。

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