
落語の絵本です。
縁起をかつぐ 呉服屋の だんなさん
「うえ」、「かみ」、「あがる」が好き
「した」、「しも」、「さがる」が嫌い
あるとき
「こめあげザルぅー、こめあげザルぅー」
と、声をあげ
もきちが という男が やってきました
(こめあげザルは、お米をとぐときにつかう ザル)
「こめあげザルを こうてやろう」
「あげ」という言葉に 喜ぶ だんなさん
もきちは
小僧さんに だんなさんの縁起かつぎを おしえられ
「暖簾を あげて はいりますわ」
「ザルは ぜんぶ こうてあげる」
「みんな こうてこらいましたら たたみのうえに ほうりあげます」
だんなは喜び、十文の金を あげました
「とびあがるほど うれしいですわ」
「もう二十もんあげるわ あんたの すきなたべものは なにかいな」
「あげまんじゅうですわ」
「もう 三十文」
「えびの かきあげに とうふの あつあげ」
「五十文 おこづかいを あげる。どんな遊びが すきや」
「たこあげですわ」
「うれしい 人やなあ 百文 あげることにしよう」

「双六もすきです」
「双六のどこが すきやねん」
「さいごの あがるのが だいすきで」
「あがる! こんなに うれしいのは うまれて はじめてじゃ
もう 二百文 あげる」
もきちは おもわず
あたまを ぺこり
「いま、おまえ なにをしたんや!」
「はい、。あたまを さげ・・・ わっ、しまった!」
もきちは「すんません、すんません」と
あたまを なんども さげてしまいました。
「えんぎが わるい おかねを ぜんぶ かえしなはれ」
「あげる」「あがる」をつかった軽妙な言葉遊びの噺です。言葉のやりとりが笑えます。でも、さいごに、もきちは頭をぺこりと下げてしまいました。思わぬところから、メッキがはがれてしまいました。「過ぎたるは猶及ばざるが如し」です。
もきちの失敗が笑えますが、同時に旦那さんも笑われているように思います。
ふたりの滑稽な言動をみると、自分にも当てはまるかもしれないと、にがい笑いもうまれます。笑いのなかに、人間批評があります。
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※『えんぎかつぎのだんなさん』 桂文我作、梶山俊夫絵、福音館書店 2004年 (2026/1/17)









