ふつうの男の子の 、学校での特別な一日です。
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ふつうの男の子が、
ふつうの 夢から さめて、いつもように、
ふつうの服を きて、
ふつうの朝ごはんを たべて、
ふつうの歯を みがいて、
ふつうの学校に でかけました。
( 絵は モノクロ調。)
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教室にはいると、
ぜんぜん ふつうじゃないことが おきたのです・・・・・
「 諸君、 おはよう ! 」
ぜんぜん ふつうじゃない ギー先生。
ギー先生は、 いいます。
音楽をきいて
頭のなかに 絵を思いうかべてごらん。
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ダダダダ ドドーン、
バーン、 ジャジャーン。
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ふつうの男の子はいいます。
先生、 ゾウがみえました、 何百頭も !
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こんどは、思いうかべたことを ことばでかいてくれるかな。
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ふつうの男の子は 書きはじました。
いいたいことが いっぱい です。
ことばが 洪水のように でてくるのです。
・・・ことばはいまや、 男の子の おもちゃでした。
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象の 背中にのったり、
イルカにつかまって 海にもぐったり、
鳥といっしょに 空をとんだり、
想像は どんどん 広がります。
ふつうの男の子は すっかり 夢中。
( ギー先生の登場から、 絵は、色彩ゆたかになっていきます。 )
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その夜、
ふつうの男の子は、
ふつうのパジャマを きて、
ふつうの歯を みがいて、
ふつうのベッドにはいって ねむりました。
でも、
ぜんぜん ふつうじゃない 夢を見たのです・・・・
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ギー先生は、 音楽から、 イメージを創造し、
ことばで表現してごんなさい、
といっただけでした。
でも、
そのことで、
ふつうの男の子は、
目覚め、
おはなしを創造したのです。
そして、
自分のなかに、
おはなしを創造する力があることに気づいたのです。
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※ 『 ふつうに 学校に いく ふつうの日 』 コリン・マクノートン作、 きたむらさとし絵、 柴田元幸訳、 小峰書店 2005年