
かみひこうきといっしょに
空を飛び、行って帰る(瀬田 貞二)ファンタジー です。
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よ し、ぼくは かみひこうきを つくるぞ。
できた ! せーの、 それ !
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せいくんのひこうきは、
びゅん びゅん
飛んでいきました。
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あっ、
むこうに トンネルが みえるぞ !
砂場のトンネル に。
えい !
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たいこばしの下
ジャングルジムの間
ブランコのとなりを
すいすいっと、とび、
すべりだいを いっきに のぼってやるぞ !
そして 空へ。
たかく
たかく、
ぐんぐん ぐんぐん
ぐんぐん ぐんぐん
のぼって いきます。
海と
山が
目の前にひろがって います。
おおきいなぁ ・・・ すごいなあ ・・・
(読者もいっしょに大空へ)
大空に遊んだ
そのときに、
みちこせんせいの声が聞こえました。
せ い く ー ん ・・・
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つ か ま え た !
みちこせんせいが、せいくんを ぎゅっと受け止めました。
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読者は、
ぼくになったり、
かみひこうきになって、青空に飛んでいきます。
地上から空へ 。
現実から非現実の世界へ 飛んでいきます。。
そして、もういちど現実の世界にもどります 。
・・・
※『ぼく ひこうき』 ひがしちから 作・絵 ゴブリン書房 2011年
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【 追 記 】
「ぼく ひこうき」というタイトルは、 ぼく(せいくん)が、想像の中で、ひこうきになるのか、ひこうきが ぼくなのか曖昧です。でも、その微妙な表現がぼくを(読者を)大空へとみちびきます。イメージの流れがとても自然です。 ひがしちからさんの絵本表現へのチャレンジを感じました。
瀬田貞二氏は「幼い子が 喜ぶお話には単純な構造上のパターンがあって、それは『行って 帰る』ということではないか 」『幼い子の文学 』と指摘しています。