ぼくの成長物語です。
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ハヤシくんと
ゲンちゃんは自転車が大好き。
二人が自転車のはなしに夢中になると、ぼくはいつも仲間はずれ。でも、自転車に乗れないからではありません。はなしについていけない 内気なぼくです。
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そんな時、
ぼくは「せかいのはて」って呼んでいる秘密の場所にいってみます。
そこで、いろいろな世界を想像してみるのです。
ぼくが想像する世界は、
恐竜の世界、
中世のお城、
未来都市の世界です・・・
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でも、きょうは、
「せかいのはて」の向こう側の、地上の景色が目にとまりました。
立ち入り禁止の柵の向こう側の世界。
ぼくは、
もっと遠くの景色も見てみたいな、と思います。
そこは、
想像の世界ではなく、現実。
ジャングルも、
恐竜も、
外国のお城も、
未来の町もありません・・・
ただの現実の世界。
でも、
ぼくは、ペダルをこぎつつけます。道は、まだまだ続きます。道は続いていますが、これから先はハヤシくんとゲンちゃんと一緒に行こうと、ぼくは考えるのです。
自転車に乗って遠出をすることは、小学生にはたのしい体験です。見知らぬ世界にとびだす ぼく。それは好奇心と冒険心のあらわれです。その行動は、自分の内面の壁を乗り越えようとする ぼくの姿でもあります。ぼくの思いに共感する読者も多いことでしょう。長くつづく道のイメージ( 上の絵 )は、チャップリンの「モダンタイムス」のラストシーンのように 未来や希望とむすびついています。
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※『せかいのはてのむこうがわ』 たなか やすひろ作 BL出版 2015年
【 追記 】
小学生高学年向きの絵本です。第31回「ニッサン童話と絵本のグランプリ」絵本大賞(2015年)を受賞しました。 (2019/8/2)