オランダの民話です。
ふくろうの夫婦が、幸福論をやさしく語ります。
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仲むつまじく、しあわせに暮らす、ふくろうの夫婦。
一方、食べて、飲んで、けんかをくりかえす、農場のとりたち。
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あるとき
くじゃくは、
ふくろうの夫婦を見て、不思議に思います。
どうして、あのふたりは、 けんかをしないのだろう ?
そこで、しあわせの秘訣を たずねます。
ふくろうの 夫婦は
はる、
なつ、
あき、
ふゆ、
移りかわる四季と自然を楽しむ、
ゆたかな一年のくらしを 語りはじめます・・・
もりでは、ひのひかりと あめとに そだてられて、
どのきも どのくさも、あおあおと しげっているのです。
わたしたちは、ふかい もりのなかの しずかなこかげに とまります。
そうしていると、しあわせで、
やすらかなきもちで いっぱいです( なつ )
ものごとは、あるがままに、存在していること、
そのあるがままを感じ、気づき、受け入れて、生きること。
ふくろうの語ったことは、このシンプルな真実でした。
でも、
とりたちは、
なんてまあ、ばかばかしい !
みんなは、くるりと 背をむけ
もとのくらしに もどっていくのです。
自然を愛し、穏やかにくらす 生活を
しあわせと思えるなんて、と。
ふくろうの話を聞いたのは 農場のとりたちだけではありません。読者のわたしたちも聞きました。ふくろうの夫婦の言葉は、読者に問いを投げかけます。
暮すとは なにか?
幸せとは なにか?
という問いを。
こうした問いを持つことは、読書をする愉しみ(?)のひとつです。
科学は 問題を解決するが、文芸は 問題を提示する。(チェーホフ)
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※『 しあわせな ふくろう 』 ホイテーマ文 チェレスチーノ・ピヤッチ絵 おおつか ゆうぞう訳 福音館書店 1966年
大人が読みたい絵本です。 ( 2016/7/19 )