「 えを かこう ! えを かこう ! 」
8色のくれよんたちが、すこしずつ絵を描いていきます。
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ぼくは 空と海をかくよ。 青い くれよん。
たいようをかくんだ。 島も。 黄色の くれよん。
おとこのこをかくよ。 木も2ほん。 茶色の くれよん。
だれだかわかる ? 緑の くれよん。
( それは かめ )
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あそぶものを描くよ。 紫の くれよん。
( それは男の子の 棒 )
( かめの背中にもようもつけました )
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でも、 おとこのこは うれしそうな かおをしません。
「 きっと、 うちへ かえりたいんだよ。 」
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ぼくが船を描いてあげる。 黒い くれよん。
旗を振れば見えるかな ? 白い くれよん。
でも、
船は、
まだやってきません。
はやく !
はやく !
旗に字をかいたのは ? 赤い くれよん。
たすけて !
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でも、 ふねは たすけにきません 。
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そのとき、
絵のなかのかめが、むっくり顔をあげたのです。
おとこのこは、かめの背中に乗りました。
そして、
かめは、船のほうへ泳いでいきます。
ばんざーい !
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8色のくれよんが描いた絵( 世界 )は、島に残された男の子のことカメの絵 でした。それは 、絵の中の男の子にとって問題的状況でもあります。しかし、絵の中のかめが動きだし、おとこのこが救出されました。くれよんのはなしは、 わたしたちを取り巻くはなしでもあります。このような結末を描いたところに、ドン・フリーマン(1908~1978年)の願いが込められているようです。
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※ 『 くれよんの はなし 』 ドン・フリーマン作・絵、 西園寺祥子訳、 ほるぷ出版 1976年