おはなしの背景は、1995年1月17日におきた 阪神・淡路大震災です。
銀細工師の おじいさんが、お匙を 作りました。
ばらの彫刻をした、小さいお匙をつくり、ガラスケースに かざりました。
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ケースから 逃げだす おさじさん。
おさじさんを 待っている女の子を さがす旅に でかけました。
♪ぼくはおさじさん
すてきなおさじさん
おいしいものを
お口にはこぶ きしゃぽっぽ
ぼく おてつだい いたします♪
(この歌は、このあと5回もうたわれます!)
ある日、
おさじさんは、かわいいあかちゃんと 出会いました。
おさじさんが、歌をうたうと、
あかちゃんは、
「あん あん とだい。あん あん とーだい。」
おさじさんは、まみちゃんの おさじさんに なりました。
ガッチャーン バリバリバリ
大地震です。
気を失った おさじさん。
まわりには 誰も いません。
周りは火事 火がいっぱいです。
高速道路も 落ちて います。
家もビルも 崩れて います。
おさじさんは、
まみちゃんとママとパパを 探す旅にでます。
こねこの ルウも、いっしょです。
まい日、どのくらい 歩きつづけたでしょう。
おさじさんとルウは、 やっと 避難所にいるまみちゃんを 見つけました。
「おさじたん、おさじたん」
まみちゃんは、しっかり おさじさんを にぎりました。
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おさじさんは「♪ ぼくはおさじさん/すてきなおさじさん/おいしいものを/お口にはこぶ きしゃぽっぽ/ぼく おてつだい いたします ♪」の歌を5回も歌います。阪神・淡路大震災のなか、おさじさんは、歌で周りを励ましています。
おさじさんの仕事は「おいしいものを お口にはこぶ きしゃぽっぽ」です。ちいさなおさじさんだって、できることがありました。「みんな いっしょに がんばろうね」。松谷みよ子さんのメッセージです。ストレートに語っています。
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※『おさじさんのたび』 松谷みよ子作、ささめやゆき絵、にっけん教育出版社 1997年 (2025/5/30)