『いつもいっしょ』は、子どもの愛着物をテーマした絵本です。
・・・
ねずみの子・オーエンは、赤ちゃんのときから、
いつでも、
どこでも、
フワフワーノと いっしょです。
フワフワーノというのは、黄色いタオル( 表紙の絵 )です。
お隣のおばさんが 言います。
おたくの ぼうや、 もう あんなものを
もちあるく としじゃ ないでしょうが。
( いますね。このような人 )
お母さんとお父さんは、気になりだしました。
でも、
フワフワーノは、オーエンにとって、
あそび道具、心強いみかた、はげましてくれるもの。
フワフワーノは、
愛着物 !
・・・
だから、
持ち歩いて、
首に巻いて、
引っぱったりしています。
お風呂に入るときも、寝るときも、テレビを見るときも、いっしょ。
でも、もうすぐ学校に入学する オーエン。
ぜったい 学校に もっていくもんとオーエン。
・・・
そのとき、
おかあさんが、すてきなアイデアを 思いつきました。
それは・・・?
フワフワーノを
チョキ チョキ、
カタ カタ、
もういちど、チョキ チョキ カタ カタ。
ちいさくして、ハンカチに。
・・・
と いうわけで、
オーエンは、あまりふわふわじゃないハンカチを もっていくように なったのです。
フワフワーノはオーエンの愛着物でした。それは自分の思いを託することのできるもの、自分の分身のようなものです。読者の子どもたちにもきっとあった体験でしょう。子どもたちは絵本のオーエンに同化し、オーエンに共感していくことと思います。
絵本の中のおかあさんは、黄色いタオルのフワフワーノから、ハンカチを作ってあげました。安心をあたえ、自立を促すおかあさんの知恵に感心します。
・・・
※『 いつも いっしょ 』 ケビン・ヘンクス作・絵、金原瑞人訳 あすなろ書房 1994年
【 追 記 】
愛着物をテーマした絵本、バーニンガムの『 もうふ 』( 谷川俊太郎訳、冨山房 )を以前にこのブログで紹介しました。愛着物とは何かについて津守真さんの考察を引用して書きましたので、こちらもご覧いただけたら幸いです。 また、私事ですが、むすこが子どものころ愛着を示していたのは、縫いぐるみのさるの人形でした。ポッケと言っていつも持ちあるいていました。そのポッケから彼がどのように卒業したのかは、残念ながら憶えていません。 (2021/8/22)