ふるはしかずおの絵本ブログ3

『1つぶのおこめ』- 「前の日の倍の数だけお米をいただけませんか」

インドの昔話、「数」のお話です。

      ・・・

昔、

インドに、ひとりの王様がいました。

王様は、とれたお米を ほとんど取りあげました。

「飢饉の年がやってきたら、米をみなに分けあたえよう。飢え死にすることがないように」と言って。

        ・・・

ある年、

飢饉がやってきました。

ひとびとが食べるお米がありません。

大臣たちが頼みました。

 

「お米をひとびとに分けあたえてくださいませ」。

「ならぬ!」

       ・・・

王様は、

宴会のために米を運ばせました。

村娘のラーニは、こぼれた米を 王様に返しにきます。

王様は、感心しました。

 

「なんでも好きなものを ほうびにとらせよう」

  

ラーニは答えます。

 

きょうは、お米を1粒だけくださいませ。そして、30日のあいだ、それぞれ前の日の倍の数だけお米をいただけませんか

このあとはわかりますね。

はじめは1粒

次の日は2粒

4

8

16

32・・・

   

16日目は、32768 粒になりました。

 

「あんがいと おおくなるものだな・・・だが、しんぱいするには およぶまい」と王様は思いました。

   

20日目は、  524288 粒

25日目は、 16777216 粒

30日目は、 536870912 粒になりました。

米倉の米を、256頭のゾウが運んでいきました。

       ・・・

全部たすと1073741823 粒になります。

10億以上です。

ラーニは、そのお米を お腹を空かせている人にみんな分けてあげました。

2の30乗ともなると、大きな数字になるものです。それを既に知っていたラーニ。本当に賢いラーニです。数のふしぎ、おもしろさに惹かれます。

また、インドの細密画風の絵です。エキゾチックな絵もおもしろい絵本です。観音開きのページは圧巻です。読者を「あっ」と言わせることでしょう。

 

日本にも、曽呂利新左衛門の逸話があります。

豊臣秀吉から「褒美として何が欲しい」と言われて、 今日は米1粒、翌日に倍の2粒、その翌日には倍の4粒と「倍々」にして、100日もらうことを希望したというはなしです。秀吉は、その数が膨大なものになる事に気づき、別の褒美に変えてもらったということです。

       ・・・

※『1つぶのおこめ』 デミ作、さくまゆみこ訳 光村教育図書 2009年 (2022/6/4)

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