詩っていったい何でしょうか。大人のわたしたちも知りたくなります。
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ダニエルは公園で「 詩の発表会 」のポスターを見ました。
公園にて
詩の発表会
日曜日 午後3時
参加者募集中
「詩って なんだろう?」とダニエルは首をかしげました。
そのとき、クモがささやきました。
「詩って いうのはね、あさつゆの きらめき のことなの」
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ダニエルは、「詩って何か」を仲良しの動物たちに聞いてまわることにしました。
火曜日
ダニエルはハイイロリスに聞きます。
ハイイロリスは答えます。「おちばの かさこそと なる おと」。
水曜日
シマリスは答えます。「ふるい いしの かべに、窓が たくさん ついてる おうち のこと」。
木曜日
カエルは言います。「そりゃあ もちろん、ぴょんっと とびこみたくなる ひんやりとした みずのことだわ!」
金曜日
カメに聞きます。「詩って なんのことだか わかる?」「たぶん、おひさまで あたためられた すなのことじゃないかしら?」
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土曜日
出会ったコオロギは、羽をふるわせ、うっとりするような音楽を奏でます。「これが、コオロギさんの 詩なんだね?」
夜、フクロウに聞くと、星、月のひかり、空を自由に飛ぶための翼も詩だと教えてくれました。
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日曜日
ダニエルはどのような詩を作ったのでしょうか?
詩ってなあに?
なかよしの ともだちに たずねたら
いろんな こたえが かえってきた
あさつゆの きらめき
おちばの かさこそと なる おと
ふるい いしの かべに、まどが たくさん ついてる おうち
ぴょんっと とびこみたくなる ひんやりとした みず
おひさまで あたためられた すな
ゆうぐれの かぜの なかに とけていく メロディー
こずえの うえで かがやく ほし
草をてらす つきの ひかり
そして そらを じゆうに とぶための
しずかな つばさ・・・
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詩を氷山に喩えて見ます。海面に出ているのは氷山の一角です。海面の下に氷山が大きな氷の塊を隠しているように(氷山の90%は水面下にあります)、ダニエルの詩の言葉の下にはたくさんのことが隠れています。詩ってなんだろう?という人物たちの考えと思い、ダニエルと人物たちとの関係と共感、みんなの言葉を受け止め創作するダニエルのこころがあります。
ダニエルの詩にはみんなのこころが隠れています。仲間たちとの共作でした。みんなのこころを繋いでいます。絵本による詩論のようです。
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※『詩ってなあに?』ミーシャ・アーチャー作、石津ちひろ訳、B L 出版
2017年 (2022/2/10)