「自分の目でたしかめ、科学的に導かれた結論を認めないということは、人間の知覚や知性を否定することになります」( ガリレオ・ガリレイ )
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プトレマイオスの天動説を、みんなが信じていた時代。
コペルニクスの地動説をうけつぐ人物があらわれました。
ガリレオ・ガリレイです。
1564年、
彼は、ピサという町で生まれました。
かしこい若者になり、数学と物理を学び、人々をおどろかせる実験や観測をおこいました。
1583年 振り子の等時性
1604年 落体の法則
1611年 浮力の証明
「ガリレイはわれわれの希望の星」と言われました。
ガリレイは、望遠鏡で夜空を観測して『星界の報告』を出版します。木星の4つの星を発見して、メディチ星と名づけ、メディチ家のコジモ二世にささげました。
1632年『天文対話』出版。
カトリック教会は不安になりました。
地動説は聖書に背くかんがえでした。
「主は大地をその土台の上に置かれた。大地は永遠に動くことはない」
旧約聖書・詩篇
ガリレオは教皇の法廷で裁判にかけられました。
1633年、聖書に反する説を唱えたことで
有罪となりました。
死ぬまで家から一歩も外に出ることを許されませんでした。
かれは自分の考えを伝え続けました。
1642年 ガリレオ死去。
1992年 ガリレオの罪は許されました。ガリレオの考えは、はじめから揺るぎない真実だったのです。
作者のシスは、とても凝った絵本造りをしました。
本文とは別に説明の文を書いています。フォントや文字の配列を変えて表現しています。タイポグラフィーのように文字で遊んでいます。ガリレオの思想が生の声でわかるように、かれの本からの引用もあります。絵にも説明がありました。つまり、本文を補うさまざまな記述で、ガリレオの伝記を立体的に描いています。
言いかえれば、語り手だけでなく、背景を説明する者、ガリレオ自身の声、絵の説明者の声があります。ひとつの画面から、多くの人物の声が聞こえてきます。多声的な絵本といえます。そのようにして描かれたのは、信念を貫くガリレオの生き方です。1997年コルデコット賞オナー賞を受賞した絵本です。
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※『星の使者-ガリレオ・ガリレイ-』 ピーター・シス、原田勝訳、徳間書店 1997年 (2022/8/7)