越冬のため、渡りをするカオジロガンの家族の旅を描いた絵本です。
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ぼくたちは 大きくなった。
ぼくたちとは、北極で生まれた「カオジロガン」のことです。
父と母は言った。
「さあ、ゆくぞ」
「がんばるのよ」
ぼくたちは、飛びたった。
あたらしい世界、
約束の地を めざして。
昼は 太陽をみて、
夜は 星にみちびかれて、
ほくたちは 旅をした。
風をうけ、
波をこえ、
くる日も くる日も、飛びつづけた。
ぼくたちを 追い越していく 鳥たち。
「見えたぞ」
「ついたわ」
はじめてみる
ぼくたちの新しい世界、
約束の地。
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南の越冬地へ向かうカオジロガンの家族を、雄大な自然のなかに描いた絵本です。餌をもとめ、生きるため、3000キロ以上、約1ヶ月も飛びつづけます。詩のような文章、リズム感が豊かな文章です。
「北極はとても「生命」にあふれる地」(あべ弘士)。
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※『新世界へ』 あべ弘士作、偕成社 2012年
【追記】
千葉県印西市の「白鳥の郷」には、毎年、シベリアから、1000羽を越える白鳥が飛来します。シベリアは寒冷地です。水面が凍ってしまうと、白鳥は餌をとることができなくなり、餌をもとめて南へ渡りをします。
「白鳥の郷」は、もともと水田ですが、冬は水を入れません。しかし、飛来する白鳥のために冬にも水を張っています。地元の方々や子どもたちが白鳥を守っています。 (2014/1/14)