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12歳で聴覚を失った、エヴェリン・グレニー(1965-)。
困難を克服し、打楽器奏者になった彼女の半生を描いた絵本です。
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スコットランド
丘の上の農場で育った エヴェリン。
音楽が 大好きでした。
しかし、
耳に痛みを かんじるように なりました。
お医者さんは、
補聴器をつけ、
ろう学校に 行くことを すすめます。
父親は 言いました。
「耳が きこえなくなっても、この子が やりたいことをさせます」
地元の中学校へ すすみ、
打楽器と 出会い、
わたしのやりたいのは、これだ!って、思いました。
打楽器が専門のフォーブズ先生が、言います。
「補聴器をはずしたほうが、よく聞こえるとおもわないかい?」
「音をかんじて」
ティンパニをたたいて、言います。
「いま、体のどこで音をかんじた?」
![](https://ehon.furuhashi-kazuo.com/wordpress/wp-content/uploads/2023/08/心をひらいて①.jpg)
その言葉が、
エヴェリンの人生を 変えました。
おおきな振動が
おなか、背中、足に つたわります。
全身が 耳になったようです。
外の世界の ざわめきも、体じゅうに かんじます。
エヴェリンの感覚は、どんどん するどくなりました。
英国王立音楽院に 入学し、
2年生のときに、打楽器のコンクールで 優勝します。
卒業後、
バルトークの「二台のピアノと打楽器のためのソナタ」のアルバムは
グラミー賞に かがやきました。
いま、
世界各国のひとが、彼女の演奏を きいています。
語り手は結びます。
だれにもたくさんの可能性があり、
どんなときでも、どこかに道は見つかります。
あなたの心の声を
かんじることができたら
きっと・・・
![](https://ehon.furuhashi-kazuo.com/wordpress/wp-content/uploads/2023/08/心②.jpg)
絵本の文章です。
「耳の聞こえる人は、空気のふるえを耳でかんじて、音に変える。わたしは空気のふるえを体でかんじる。わたしたちはただ、やり方がちがうだけなんだ」。
巻末に、「作者より」と「読者のみなさんへ」のエヴェリン・グレニーの文章があります。また、本書は、障がいを取り扱った児童書におくられる「シュナイダー・ファミリーブック賞」(2023 年度)を受賞しました。
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※『心をひらいて、音をかんじて』 シャノン・ストッカー文、デヴォン・ホルズワース絵、中野怜奈訳 光村教育図書 2023年 (2023/8/20)