むかし、マグナス・マクシマスという おじいさんがいました。
もの・ことをはかるのが大好き。
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時計
天秤
温度計
晴雨計
望遠鏡
潜望鏡
彼の家には、なんでもそろっていました。
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もの数えるのも 大好き。
空の雲、
ゼラニウムの花びら、
顔のそばかす、
はしかのポツポツ、
菓子パンのレーズンを 数えました。
( かわっていますね )
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ある日、
サーカスから一頭のライオンが逃げだしました。町のひとたちは大騒ぎ。でも、マグナス・マクシマスはライオンの前に立ちはだかり、
止まれ!
そして、
ライオンのしっぽの長さ、
ひげの長さ、
たてがみの中にいるノミの数をかぞえ、
聴診器で心臓の音をかぞえました。
ありとあらゆるものをはかりますが、人が楽しそうにしていても、悲しそうにしていてもすこしも気がつきません。ある朝、メガネをこわしてしまったマグナス・マクシマス。
メガネがなければ、
みえません。
はかれません。
(メガネは象徴的なものです)
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マグナス・マクシマスは、
浜辺で男の子と出会い、遊びます。
海にはいって、バシャバシャ、キャーキャー。
おかしな歌を歌ったり、
砂のお城もつくりました。
変わりはじめたマグナス・マクシマス。
彼はまわりをゆっくり見るようになりました。
すべてをはかろう(計・測・量)とする行為をユーモアをもって描いています。マグナス・マクシマスにも、はかれないことがありました。それは人のこころ。愛、やさしさ、信頼など人のこころをはかることは難しことです。何でもをはかろうとする現代ですが、想像力で感じること、体験してわかることがあります。そして、自分の目とこころで見ることがたいせつです。マグナス・マクシマスは典型的な現代人のひとりです。わたしたちと重ねあわせて読んでみました。
数値化できないものまでを、はかろう(計・測・量)とする現代の風潮に対する風刺の効いたおはなしです。
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※『マグナス・マクシマス、なんでもはかります』 キャスリーン・T・ペリー作、S.D. シンドラー絵、福本友美子訳 光村教育図書 2010年 (2020/7/31)