ふるはしかずおの絵本ブログ3

『マイク・マリガンとスチーム・ショベル』- 息子のために創作された絵本(1939年)

マイク・マリガンは、

スチーム・ショベルを もっていました。

メアリ・アンという名前でした。

ふたりは、いっしょに たくさんの 仕事をしてきました。

   

 

 「100にんのにんげんが 1しゅうかんかかって

  ほるくらい、1にちで ほってしまう

 


マイクは、メアリのことを 自慢していました。

でも、

あたらしい

ガソリン・ショベル、

電気・ショベル、

ディーゼル・ショベルが、

スチーム・ショベルの仕事を 取りあげて しまいました。

  

 

しかたなく、

ふたりは、

田舎の ポッパビルという町に いきました。

町では、

あたらしい市役所を 建てる計画が ありました。

マイクは、

一日で 地下室のあなを 掘ることができると言って、

請負いました。

でも、

一日で、できなければ、おかねを もらえません。

  

 

マイクとメアリは、働きはじめました。

おとこのこが、やってきて、見物します。

マギリカディおばさん、スワップさん、おまわりさん、郵便屋さん、電報配達人、牛乳屋さん、お医者さん、お百姓さん、消防士さん、学校の子どもたちも やってきました。

 

マイクとメアリは、いよいよ はやく 上手に 掘りはじめました。

はなしを 聞きつけて、

町の 人たちも やってきます。

もう、見物人で いっぱいです。

でも、陽は、もう 沈みかけてきます。

  

 

 「いそげ! マイク・マリガン!」

 「もう、時間が ないぞ!」

  

 

とうとう 

マイクとメアリは、穴を 掘りあげました。

でも、

ふたりは、穴のそこです。

どうやって 穴から 出たら いいのでしょうか?

あの おとこのこが 言いました。

 

 

 そのままで いいよ。

 メアリを 市役所の ボイラーにして

 マイクを 管理人にすれば いいんだ

 

 

みんな そうなりました。

もし、あなたが ポッパビルへ いったら、

市役所の 地下室を 見てください。

メアリが、蒸気を 送って

市役所を あたためて いることでしょぅ。

 

町のみんなが、マイクとメアリを応援します。期待にこたえようと、ふたりは一生懸命働きました。でも、穴から出られない失態を演じてしまいましたが、男の子のアイディアで、スチーム・ショベルのメアリは、ボイラーになり、市役所を温める新しい仕事を与えられます。マイクはその管理人です。

    

スチーム・ショベルとしての役割を終え、ボイラーとしてあたらしい役目を得たメアリ・アン。終わりは、あらたな出発です。この結末に『ちいさないえ』の作者・バージニア・リー・バートンの思想を感じます。

 

彼女の『いたずらきかんしゃ ちゅうちゅう』(1937年)は、長男のアーリスのために、『マイク・マリガンとスチーム・ショベル』(1939年)は、次男のマイケルのために創作された絵本でした。

      ・・・

※『マイク・マリガンとスチーム・ショベル』 バージニア・リー・バートン文・絵 石井桃子訳、童話館出版 1995年  (2023/7/19)

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