日本から5000キロ離れた、マレーシア。
そのマレーシアから 飛んでくる、ツバメの旅を 描いた絵本です。
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1羽のツバメが 目をさます。
だれかが ぼくを 呼んでいる。
いかなければ。
しゅっぱつだ
いそげ
いそげ
どこかで だれかが 呼んでいる。
水平線の 向こうから、
ひろい ひろい 海の 向こうから、
つめたい、さむい、とばされる
だれかが ぼくを 呼んでいる。
灯台のもとで、やすみ、
さあ、しゅっぱつだ
この波の 向こうが
ぼくの いくところだ。
この色、このにおい。
空気が 変わった。風が 変わった。ひかりが 変わった。
ぼくを まっている だれかに あえるんだ
ぼくは ぼくの 場所にいく。
ここだ
ぼくの 来たかった 場所。
ぼくは およめさんと 土とわらで 巣を つくる
たまごを 育てる。
うまれた ひなに ごはんを とってくる
ぼくを よんでいたのは ひなたち。
ぼくは このために 飛んできたんだ。
ぼくは ツバメです。一人称視点です。
ツバメになった気持ちで、読んでいくことができます。読者は、ツバメの姿に「ガンバレ」と応援したくなることでしょう。日本各地でツバメが見られることでしょう。
5000キロを旅する ツバメ。
迷わないのでしょうか。太陽の位置を目印にして、方角を把握しているそうです。どうして日本に来て、子育てをするのでしょうか。答えを、ネットで 見つけました。
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「暖かい国にずっといればいいと思いますよね。ところが暖かい国には虫を食べる鳥が他にもたくさんいるので、子育てする分までたらないのです。それで子育てする季節、すなわち夏には日本に飛んできて子育てをするのです。日本には飛んでいる昆虫を食べるライバルとなる鳥があまりいないので、ヒナの分まで十分あるからです。」(生きものジャーナリスト 柴田佳秀)
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※『ツバメのたび』 鈴木まもる作、偕成社 2009年 (2023/5/3)