アントンせんせいは、どうぶつのお医者さんです。
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毎日、どうぶつたちが、
おなかが痛い、
熱があると 言って やってきます。
アントンせんせいは、どんなに忙しくても 丁寧に応対します。
ある時、
ヤギさんから、手紙が届きました。
アントンせんせいへ
きょうの よる いえに きて ください。
ヤギさん、からだのぐあいでも わるいのかな?
アントンせんせいは、自転車に乗って、ヤギの家に 向かいます。
その途中、
「せんせい、ちょっと みて もらえませんか」
「だれですか~」
足をくじいた おおきなカメがいます。
アントンせんせいは、湿布薬を はってあげます。
「これで だいじょうぶ」
カメレオンは、
とげが 舌に 刺さっています。
棘を とってあげる アントンせんせい。
サルは、
お尻を すりむいています。
くすりを 塗ってあげる アントンせんせい。
こんどは、アントンせんせいの自転車が 木にぶつかり、
ガチャ―ン ビューン
ズボッ!
アントンせんせいは、もぐらの家に
逆さまになって はまって しまいました。
みんなは、アントンせんせいを 助けました。
そして、アントンせんせいを ヤギの家にへ 案内します。
ギ~コ
ギ~コ
ギ~コ
ギ~コ
アントンせんせいが ヤギさんの家の 扉をあけると、
「ハッピー バースデー アントンせんせい!」
「みんな ありがとう」
・・・
ヤギさん家のいく途中でも、カメ、カメレオン、サルのけがを治していく、アントンせんせい。アントンせんせいのくりかえされる行動から、子どもは、せんせいの優しさを理解することでしょう。こころは行動にあらわれる。そして、人物の本質はくりかえされます。
最後は、どうぶつたちからの感謝のサプライズです。「ハッピー バースデー アントンせんせい!」。ケーキやプレゼントが、ヤギさんの家のテーブルに用意されていました。アントン先生とどうぶつたちを見ていると、とても優しい気持ちになれます。
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※『アントンせんせい おでかけです』 西村敏雄作 講談社 2015年
【追記】
最後のページに、二十六夜月が描かれています。この月は、夜中の1時から3時の間に出て、夜が明けるころに輝く月です。アントンせんせいの世界では、月は三日月がよいと思いました。 (2024/3/14)