わゴムは、どのくらいのびるのでしょうか。
空想が、どんどん広がります。
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あるひ、ぼうやは、
わゴムが どのくらいのびるか、ためしてみることに しました。
わゴムのはしを、ベッドの枠(これが伏線)に、引っかけて、
わゴムを握って、部屋の外へ。
自転車にのって、
バスに、
汽車にのって、
わゴムは?
どんどん、伸びていきます。
ついたところは、飛行場。
飛行機にのって、飛びたち、
船にのって、海をこえ、
よそのくに。
わゴムは?
まだまだ、伸びていきます。
・・・
ラクダにのって、砂漠をこえ、ロケット発射場につきました。
ロケットにのり、月へ!
わゴムは?
どこまでも、伸びていきます。
ぼうやは、宇宙でも、わゴムを握っています。
(ありえなーい!)
でも、
ロケットからでて、あるきだそうとした とたん
ボーン と、はねて、
ぼうやは ベッドに、ちゃくりくしたのさ。
( やっぱり ! )
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わゴムが、切れるかもしれないと思うと、ワクワク ドキドキ。ありえないと思いながらも、やってみたーいと大喜び。わゴムがどこまでのびるのかという、シンプルな絵本ですが、たのしい体験がうまれます。日常の世界では得られない、ドキドキとワクワク、不安のなかの可笑しさ、現実と非現実のないまぜになった体験、期待する心と先を見たくない心のアンビバレンスです。先も見たいけれど、やっぱ り、切れたらどうなるか、心配な読者です。
ジェリー・ジョイナーの絵は、はじめは線がやや太く、ゆれる感じです。でも、線はだんだん細くなり、緻密な絵になっていきます。ぼうやの夢と読者の体験が、だんだんリアルなものなっていくことを表現したのでしょう。また、ベッドのまわり(上の絵)には、バス、汽車、飛行機、ヨット、らくだ、ロケットのおもちゃ、自転車。ベッドの枠には、すこしのびた 輪ゴムもあります。たのしいしかけです。
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※『 わゴムは どのくらい のびるかしら ? 』 マイク・サーラー作、ジェリー・ジョイナー絵 岸田 衿子訳 ほるぷ出版 2000年(1974年初版 アメリカ)
※ アンビバレンス - 同一対象に対して、愛と憎しみなどの相反する感情を同時に、または、交替して抱くこと。(デジタル大辞泉) (2016/8/21)