どうぶつたちと心をかよわせる、女の子のはなしです。
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わたしは はらっぱへ 遊びに いきました。
「ばったさん、あそびましょ」
ばったを捕まえようとすると、
ぴょんと とんでいってしまいました。
「かえるさん、あそびましょ」
かえるも、ぴょん ぴょん はねていってしまいました。
「かめさん、あそびましょ」
かめも、ぷくりと みずの なかに もぐってしまいました。
りすも、
かけすも、
うさぎも、
ヘビも、
わたしが ちかよると
みんな 逃げてしまいます。
誰も遊んでくれません。
池のそばの石に腰掛けて、みずすましを 見ていました。
すると、ばったが 戻ってきて、草の葉に とまります。
かえるも 戻ってきて、草むらに しゃがみました。
かめも、
りすも
かけすも
うさぎも
へびも
みんな 戻ってきました。
しかの赤ちゃんが やってきました。
うごかず だまっていると、
しかの赤ちゃんは、
わたしのほっぺたを なめました。
ああ、わたしは いま、とっても うれしいの。
とびきり うれしいの。
なぜって、みんなが わたしと あそんでくれるんですもの。
誰も遊んでくれないおんなのこ。でも、じっとしているとやってくる動物たち。これだけの絵本ですが、わたし(おんなのこ)のこころの変化が伝わってきます。動物たちとの共感している姿が分かります。
擬人化された太陽が、おんなのこをやさしく見守ります。おかあさんのようです。おんなのこは、子どもの頃のエッツ(1895-1984)かもしれません。どうぶつとともに暮した、幸せな時間と、その時に感じた感情を再現しているように思えます。
クリーム色が基調の柔らかなタッチの絵です。池のそばで座っているおんなのこの表情に注目します。目に動きがあります。
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※『わたしとあそんで』 マリー・ホール・エッツ文・絵、与田準一訳、福音館書店 1968年 (2023/2/13)