ユーモアがあって、ほのぼのとしたおはなしです。
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スイスの小さな時計屋さん。
はと時計でいっぱいです。
123個のはと時計が「ボン」と鳴ると、
時計のなかのはとが 、いっせいに 飛び出してきます。
1じのときは「ポッポー」。
2じのときは「ポッポー」「ポッポー」。
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でも、
1羽のはとだけ、飛びだすのが遅れるのです。
1分遅れて「ポッポー」。
村の子どもたちは、学校の帰り道、それを楽しみにしています。
時計屋さんは「いつか きっと なおそう」と考えています。
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ある日
ガラビア国の王さまが、村にやってきました。
王さまは、
お土産にするために、
123個のはと時計をみんな買い上げます。
( あのはと時計は? )
やっぱり、
1分遅れて「ポッポー」となくのです
王様は怒りました。
時計屋さんは、つぎの日の10時までに直すと約束します。
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でも、どうして直したらいいのでしょう。
ぜんまい、
歯車、
ゴミ。
原因はどれでもありません。
とうとう、しまいには、はとは全然出てこなくなりました。
「すっかり こわしてしまった」と時計屋のおじいさんは悲しくなりました。
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おじいさんは、ちいさな扉を開いてみます。
そこには、ちいさなはと がいます。
なんということでしよう!
はとは、ぐっすり寝こんでいたのです。( Σ(´∀`;)
おじいさんは、
かんがえて
かんがえて
かんがえていい考えがうかびました。
( どうするの? )
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つぎの日、王さまがやってきました。
10時1分前。
さあ・・・、いよいよ・・・
10時です。
すると、どのはと時計もいっせいに、声をそろえて鳴きました。
「ポッポー」「ポッポー」「ポッポー」「ポッポー」「ポッポー」「ポッポー」「ポッポー」「ポッポー」「ポッポー」「ポッポー」
王さまは満足して帰ります。
( どうやって直したの? )
おじいさんは、ちいさな扉をひらいて、子どもたちに種明かしをします。寝ぼすけのはとが、毎時間、1分はやく起きるように、ちいさな目覚まし時計を仕掛けておいたのです。この時計は王さまには売りませんでした。
どうしてかって?
この小さな時計のネジをまけるのは、おじいさんだけだったからです。
「この ひみつを しっている人は、村の子どもたちと おじいさんと、そして この本を よんだ あなただけです。」
(こんなおはなし、わたし、好き!)
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時計屋のおじいさん、はと時計を見にくる子どもたちが優しく、全体にほのぼのとした雰囲気がいっぱいです。はと時計のはとが寝ぼすけだと設定が笑えます。ユーモアの感覚を育てます。また、最後の文「この ひみつを しっている人は…… 」を引用しましたが、秘密を知っているのあなただけですよと言われて、読者もきっと満足することでしょう。洒落ています。( )の言葉は女の子のつぶやきです。つぶやきで参加してくれた彼女も気にいってくれたようです。
初版は1962年。童話として出版されましたので、すこし長いおはなしです。あらすじの紹介はかなり端折りました。絵本の出版は2007年。
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※『 ねぼすけ はとどけい 』 ルイス・スロポドキン作・絵、くりやがわけいこ訳 偕成社 2007年 (2019/6/4)