![](https://ehon.furuhashi-kazuo.com/wordpress/wp-content/uploads/2022/01/ふたつ-2.jpg)
中国の昔話です。
貧乏なハクタクじいさんとばあさんは、不思議な甕を手にいれました。入れたものが何でも二つになるという甕です。甕を手に入れたハクタクじいさんとばあさんは、さてさて、どうなることでしょうか。
・・・
ある春の朝、
ハクタクじいさんが、
庭を耕していると、真鍮でできた古い大きな かめを見つけました。
運ぶ途中で、
ハクタクじいさんは、かめのなかにサイフを落としてしまいました。
金貨が5枚の全財産です。
家では、
かめをのぞきこんだおばあさんが、ひとつしかない髪飾りを落としてしまいました。
おばあさんが、拾い上げてみると、
髪飾りも
サイフも、2つになっていました。
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なんでもふたつになる不思議なかめ。
ハクタクおばあさんは、金貨をかめにいれました。
「こうすれば どんどん おかねが ばいに なる」
やがて、家は、金貨でいっぱいになりました。
・・・
おばあさんは、かめに向かって言いました。
「かめさんや・・・おまえさんは わたしの いちばんの ともだちだよ」
その時、戸がバタン。
家に帰ってきたおじいさんにびっくりしたばあさんは、かめのなかに頭からつっこんでしまいました。
おじいさんが、つかみだすと
なんと、
おばあさんが、ふたりになっています。
・・・
じいさんも、よろけて かめの中に頭からつっこんでしまいました。
(ということは・・・)
じいさんも、ふたりになりました。
「まあまあ・・・きょうだいが できたような もんだし。・・・こまることは ありませんよ」とおばあさん。
・・・
ふた組のハクタクさんたちは、2軒の素敵な家をたてました。あたらしいハクタクさんと、むかしからのハクタクさんは、仲の良い友達になりました。村のひとたちは、「おおがねもちに なったから なんでも ふたつに したんだな。じぶんたちまも!」と思いました
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おおらかな笑い話です。
何でもふたつにできる甕を手にいれることができたら、どんなに幸せなことでしょう。羨ましい限りです。お金に困ることは絶対にありません。庶民の願いです。そして、おはなしはハッピーエンドでした。
「2」(ふたつ)については、「中国語で”和諧”(調和がとれている)の意味」があり、中国では縁起の良い数字として捉えられていることを知りました。
それでも・・・
何でもふたつにできる甕を持っていることは、本当に幸せなことなのかな? と思います。ふた組になったハクタクさんの後日談が知りたくなりました。
・・・
※『 なんでも ふたつ 』リリー・トイ・ホン作 せきみふゆ訳 評論社 2005年
(2022/1/30)