ふるはしかずおの絵本ブログ3

『てくとこ ずんずん』- 絵本をひとまわり!

マーガレット・ワイズ・ブラウンの詩、大胆な構成のシャーリップの絵のFour Fur Feet 1961(四本足)です。

でも、絵本の世界に入るには、少し予備知識が必要です

      ・・・

予備知識とは?

はじめの文章を引きます。

      

まっくろくろの ふわふわ よんほんあしが

              みえるかな?

  この くろくろの あしと いっしょに 

           てくてく とことこ

           あるいて いってね

        

絵は、

横向きに描かれていたり、

さかさまに描かれています。

また、読者はこの四本足についていくことを求められます。

「まっくろくろの ふわふわ よんほんあし」は、いつも絵のなかにいます。絵本への橋渡しは、これでOKです。

で、その世界とは?

     ・・・

自然のなか、

街、

海の中のふね、

汽車、

どうぶつたちの世界、

川、

くさはら、

あたたかな太陽のした、

世界がまるいゆめを見る、

そして、もう一度

いきものたちの世界へ。

      ・・・

四本足はどこにもいます。(上の絵、下の絵)

あし音立てずに

ずんずん てくとこ 

てくとこ ずんずん

あるいて いきます。

でも、絵から音が聞こえてくるようです。

絵が、横になってたり、逆さまになって描かれていますが、「まっくろくろの ふわふわ よんほんあし」は、本をくるりとひと回り。

読者自身が、絵本の周りをまわって読む(見る)こともできます。

よんほんあしも読者も、どちらも、ぐるっと一回転です。

  

読者は、絵本を手で動かしたり、体を動かして読む(見る)ことを求められます。ここが仕掛です。『よかったねネッドくん』『いたずらこねこ』の著者、レミー・シャーリップのたのしい実験です。

 

韻や文のリズムが心地よいのは、マーガレット・ワイズ・ブラウンの文章の特徴です。訳文は意訳ですが、「てくてく とことこ」「てくとこ ずんずん」「ぐるっと」「ふわふわ」「ボー」「ポッポー」「ぴちゃぴちゃ ぱちゃぱちゃ」などのオノマトペがいっぱいです。英語の詩と日本語訳の詩が並記されています。

       ・・・

※『てくとこ ずんずん』 マーガレット・ワイズ・ブラウン詩、レミー・シャーリップ絵、木坂涼訳、集英社 2012年   (2021/2/17)

SHARE