長新太さんのナンセンスな世界です。
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曇り空、
草原と地平線が見えます。
ページをめくると…
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でました。
(なにが?)
男の子。
(笑い)
でました。
象。
(大笑い)
でました。
火山。
( (゚д゚)!! )
文は「でました」だけです。
絵が、でてきたものを描いています。以下は出てきたものたちです。
エイ。
飛行船。
氷山の上のペンギンたち。
ザトウクジラ、
おおきな船。
街のビル。
池とさかな。
太陽。
そして、もう一度男の子。
出てきたものは現実にはありますが、草原には、絶対的に出てこない奇想天外なものたちです。エイ、飛行船、ペンギン、ザトウクジラ。おおきな船とビル。池とさかな、太陽、そしてもう一度男の子。出てくるものはまったく関係のないものです。順序にも意味はなさそうです。これらのものが雑然と、また突然あらわれるところは、この世界の混沌とした出来事を表現しているように見えます。今年もさまざなモノ・コトが「でました」。このナンセンスの世界は、現実世界と相似形だと思いました。また、意味がないところに意味があるとも言えるかもしれません。ナンセンスは、意味ある世界を「見なれないもの」(異化)とすることで、意味ある世界へ挑戦します。そして、笑いを引きだします。
読者は、絵本のことば「でました」と大きな声で言って、この絵本の世界に参加していくことでしょう。絵本との掛け合いを楽しんで下さい。
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※『ちへいせんのみえるところ』 長新太作 ビリケン出版 1998年 (2018/12/25)