
らいおんの知らないところを知っている読者。
それは、
らいおんと街で出会ったら、やはり怖いということです。
ごきげんならいおんは、そのことを知りません。
・・・
飼育係の息子のフランソワ、
デュポン校長先生、
パンソンおばさん、
町の人みんなは、
動物園のごきげんならいおんに挨拶します。
それがうれしい、らいおんです。
・・・
ある日、
檻のカギがあいていました。
ごきげんならいおんは、街にでかけます。
こんどは、自分の方から 町の人に挨拶をしようと思ったのです。
でも、
みんなは、大慌て。
デュポン校長先生も、
パンソンおばさんも、
楽隊たちも見物人も、みんな逃げていきます。
らいおんは考えます。
「なるほど。このまちのひとは、どうぶつえんに こないときは、いつも こんなふうにしているんだな。」(笑)
ウーウーウーウー
らいおんを捕まえようと、消防隊も出動します。
「やあ、ごきげんな らいおんくん」と かわいい声がします。
声をかけてくれたのは、フランソワです。
やっと友だちに会えた らいおん。
「こうえんまで、いっしょに かえろうよ」
「ええ、いっしょに かえりましよう」
こきげんならいおんは、フランソワといっしょに動物園まで歩いて帰ったのでした。
・・・
うれしいときも、悲しいときも、いつも変わらず、そばにいてくれるのが友達。フランソワが、いつもと変わらない態度でいてくれたことがうれしいらいおんです。動物園に帰れば、みんないつもの通り、あいさつしてくれます。それが「ごきげんならいおん」(The Happy Lion 1954)です。訳文はとても丁寧な言葉づかいてす。また、「ライオン」ではなく、平仮名の「らいおん」が使われています。柔らかな感じがする「らいおん」の方がこのおはなしにふさわしいと思います。
軽妙なタッチの絵は、ロジャー・デュボアザン(1900~1980)です。このブログでも、『せかいの はてって どこですか? 』『がちょうのぺチューニア』『ロバのロバちゃん』を紹介しています。『ごきげんならいおん』は、50年以上も読まれています。
・・・
※『ごきげんならいおん』 ルイーズ・ファティオ文、ロジャー・デュボアザン絵、村岡 花子訳、福音館書店 1964年 (2019/8/28)