![](https://ehon.furuhashi-kazuo.com/wordpress/wp-content/uploads/2021/07/-e1626734171162.jpg)
角が絡んだ、2頭のヘラジカの骨の写真が裏表紙にあります。ヘラジカは、なぜ角を絡ませたまま骨になったのでしょうか。物語はこの写真から創造されました。
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アラスカ。
デナリ山のふもと。
1頭の大きなヘラジカが、たくさんのメスと暮らしてた。
ある日
見知らぬオスがやってきた。
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オスどうしの激しい闘いが始まった。
ガシン ガシン。 大きなつのがぶつかる。
グオッ グオッ。 うなり声が響く。
ガシン ガシン ガツン ガツン。
闘いは、何時間もつづく。
すると・・・
つのとつのが絡まって、外れなくなってしまった。
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外れないから、2頭は闘いつづける。
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ぐったりし、
ぜいぜいと喘ぐ2頭のヘラジカ。
ヘラジカの様子を見ていたオオカミは、遠吠えをして仲間を呼ぶ。
そして、
オオカミたちは、
ヘラジカに噛みつき、食べはじめた。
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ヒグマがやって来た。
オオカミを追い払い
ヒグマは、ヘラジカを食べはじめた。
ヒグマが去ると、オオカミたちが戻ってくる。
オオカミたちが去ると
コヨーテ、
アカギツネ
クズリが
ヘラジカを食べる。
・・・
カナダカケス、
ワタリガラスが
干からびた肉をつついている。
雪の中で、カンジキウサギが、ヘラジカのつのをカリカリと齧り始めた。
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春、
夏、
秋、
冬、
そして、何度目かの春。
2頭のヘラジカは、あたまの骨だけになった。
アメリカタヒバリが、ヘラジカの骨に巣をつくり、たまごを生んだ。
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ヘラジカの体重は800キロもあります。ヘラジカのたたかいは迫力がありました。ガシン ガシン、グオッ グオッ、ガツン ガツンのオノマトペが生きています。ヘラジカの力強いエネルギー。しかし、つのがからみあい疲弊した2頭のヘラジカ。まだ生きているヘラジカを襲うオオカミ。自然の過酷さを見ます。
ヘラジカの肉は、ヒグマ、オオカミ、コヨーテ、アカギツネ、グズり、カナダカケス、ワタリガラスに食べられます。大自然のドラマと命のつながりは、読者の子どもたちに深い感動を残すことでしょう。
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※『あるヘラジカの物語』 星野道夫原案、鈴木まもる絵と文、あすなろ書房 2020年 (2021/8/10)