「もし~ならば」というファンタジーの文法(J・ロダーリ)から生まれました。「もし、足がどこまでも伸びたらどうなるか・・・」 です。
ポコおじさんは、美味しいものが大好き。
珍しいものを食べてみたいと思っています。
グルメです。
ある日、ポコおじさんは、
怪しげなセールスマンから、おおきなそら豆を買いました。
「うーん、こりゃ うまい」
ぺろりと、たいらげた ポコおじさん。
・・・
すると・・・
「あれれ、ど、どうしたことだ」
ひだり足が、にょきにょき のびはじめました。
足は、
家をとびだし、
林をぬけて、
よその家に むかって、どんどこ どんどこ。
橋をわって、
とうとう街へ。どんどこ どんどこ のびていきます。
街のひとたちは、おおよわり。
「なわをかけて、とめろ!」
「それ、ひっぱれー!」
でも、とまりません。
そこへ、女の子が やってきて、足をくすぐったら、
「あれれれ・・・」
ポコおじさんの足が、縮んでいきます。
するする、するする・・・
後戻り。
足は、どんどん、 縮んでいきます。
するする、するする・・・
・・・
ポコおじさんの足は、元通り。
「ふーう、どうなるものかと おもったよ」
ポコおじさんは、大きなため息を つきました。
おおきなそら豆は、もうこりごりだと思いました。
足が伸びただけのはなしです。でも、足が伸びるって面白い。子どもに人気の話です。そら豆を食べると、なぜ足が伸びるのでしょうか。それもひだり足が。でも、そんなことはいっさい詮索なしです。ナンセンスなおはなし。笑い話です。
むかし読んだ『ふしぎなたいこ』は、鼻が伸びるおはなしでした。
・・・
※『あしにょきにょき』 深見春男作、岩崎書店 1980年 (2022/7/18)