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赤いろうそくを花火だと思い込む どうぶつたちの ひと騒動です。
『ごんぎつね』の作者・新美南吉(1913-1943)の作品です。
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さるが、
一本の赤いロウソクを拾いました。
さるは、それを花火だと思いこみます。
(「人物は知らないのに、読者は知っている」というパターンです)
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鹿
しし
うさぎ
かめ
いたち
たぬき
きつね は、花火というものを見たことがありません。
大騒ぎになりました。
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「あぶない あぶない・・・ばくはつするから」
さるは、花火の音や花火の美しさをみんなに聞かせました。
それを見たいというどうぶつたち。
山のてっぺんで打ち上げることにしました。
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夜、
木の枝にくくりつけられた 赤いろうそく。
でも、だれも火をつけたがりません。
そこで、
くじをひいて火をつける者を決めることにしました。
当たったのは、かめ。
かめは、花火のそばまで来ると
くびが引っこんでしまいました。(笑)
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こんどは いたち。
でも、近眼のいたちは、ロウソクのまわりで うろうろ。
つぎは しし。
勇ましいししは、ほんとうに火をつけてしまいました。
みんなはびっくり。 ヽ( ´Д`;) ノ
しかし、
ろうそくは 静かに燃えているばかりでした。
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人物たちは、ろうそくを知りませんでした。ろうそくを花火と間違う始末です。でも、読者の子どもは違います。ろうそくは、音をたてないし、花火のように夜空で輝くこともないことを知っています。こうした人物と読者の関係が、ほのぼのとしたユーモアをうむところです。身近な題材やストーリーを大切にした新美南吉の特徴がよく出ています。また、語り手の「のであります」「ありました」という語り口調は古風な感じをを与えますが、懐かしさや郷愁も感じさせます。おはなしは「落語」のようです。1936(昭和11)年に発表された作品です。
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※『あかいろうそく』 新美南吉作、鈴木寿雄絵、フレーベル館 2013年 (2019/6/10)