『 わまわし まわるわ 』は、 詩の絵本です。
詩人は、「 ぞうさん 」の まど・みちおさん。
画家は、 スズキコージさん。
「 タンポポ 」「 おと 」「 はひふへほは 」「 わまわし まわるわ 」の4つの詩があります。
「 タンポポ 」も おもしろい 詩ですが、
今回は 「 おと 」。
「 おと 」 は、 詩による詩論 でも あります。
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ピアノの音 ぽろん
サクランボ ひとつ
たいこの音 どどん
大波 ひとつ
カスタネット けけ
おこうこ ひときれ
らっぱの音 ぺぽー
あんぱん ひとつ
トライアングル つーん
かみの毛 一本
すずの音 ちりん
マメの花 ひとつ
もくぎょの音 ぽこん
たんこぶ ひとつ
うそっこ うた たらりー
にじの橋 ひとつ
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音( 聴覚) のイメージ が、
もの( 視覚 )のイメージに転換されています。
「 ピアノの音 」の「 ぽろん 」は、「 サクランボ ひとつ 」に。
「 たいこの音 」の「 どどん 」は、「大波 ひとつ 」に。
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ピアノ と サクランボ
たいこ と 大波
カスタネット と おこうこ
らっぱ と あんぱん・・・
ふたつのものが、
「 ぽろん 」 「 どどん 」 「 けけ 」 「 ぺぽー 」
と いう音を介して、 むすびついています。
現実では 結びつかないものが、 音でつながる おもしろさ。
しかし、
最後の連だけ、すこし違います。
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うそっこ うた たらりー / にじの橋 ひとつ
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「 うそっこ うた 」 とは、 詩のことでしょう。
詩は 「 うそっこ うた 」だといっています。
でも、
それは「 にじの橋 」である( ありたい )とも うたっています。
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七色のにじ。
あるようでない、 すぐに消えてしまう にじ。
それは、 詩。
でも、 にじ(詩)は、 私たちのこころにのこります。
にじの 7色は、
「ピアノ」 「たいこ」 「カスタネット」 「すず」 など
7つの楽器の音色と対応しています。
「 うそっこ うた 」( 詩 )は、 さまざまな 音色を だすのです。
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また、 「橋」は、
川のこちらと向こうをむすびつけます。
詩も、 人々を むすびつける「 にじの橋 」 でありたいのです。
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※ 『 わまわし まわるわ 』 まど・みちお詩、 スズキコージ絵、 童心社 1990年発行
詩は、縦書きですが、 横書きに直してあることを お断りします。
『 おならは えらい 』 『 いちばんぼし 』( まど・みちお詩、 スズキコージ絵、 童心社 )もありますが、残念ながら入手困難なようです。