
トランスジェンダーをテーマにした絵本です。
毎年 冬になると
ぼくと パパは スケートリンクを つくる
それ、きまりなんだよ
でも、
今年は、何かが ちがう
それは ぼくの せいなんだ
ぼくは
ゼナの お泊り会に よばれなかったんだ
親友なのに お泊り会は、女のだけだったから
ぼくは パパに 話した
「パパは、自分って なんなのか、
わからなく なっちゃったことって、ある?」
「話してごらん」
「ぼくは・・・ときどき、自分が女の子みたいに
かんじることがあるんだ」
パパは、ずっとずっと だまったままだった
「話してくれてうれしいよ」
「パパは 自分の名前が すき?・・・
変えたいんだ、名前」
「変えたい? なにに?」
「グレー、グレーっていう名前に変えたい」
つぎの夜から、
ぼくたちは 水をまき、スケートリンクを つくった
ぼくと パパは スケートを した
ぼくと パパは ならんで すべる
ぐるぐる まわる
ぼくたちは、足がつかれるまで すべりつづけた

「ホットチョコレートでも どうだい? グレー」
パパが、ぼくを グレーってよんだ!
心が ほかほかする
しっくりする
「すごくいいね、パパ」
今年は、なにかが 変わった
・・・
トランスジェンダーとは、生まれたときの性別と、自分が自認する性別が一致しない人のことです。アンドリュー・ラーセンと、彼の子のベルズの共作ですが、ヘルズ自身のトランスジェンダーの経験から生まれた絵本だと言われています。
「グレー」という色は、白と黒の中間色ですが、ものごとのあいまいさを表現しています。また、「ぼくを グレーって よんで」というのは、複雑さ、多様性を認めてという主張でしょう。絵本のパパのように、「ぼく」を見守り、不安や心理的な負担をあたえないこと、人間の多様性の一部と理解することが大切です。
絵本では扱っていませんが、トイレ、更衣室、スポーツなど、性別によって区分されてきたことをどう調整するのかという現実の問題があります。
性別や多様性について考えるきっかけになる絵本です。
・・・
※『ぼくを グレーって よんで』 アンドリュー・ラーセン/ ベルズ・ラーセン文、タルーラ・フォンテーヌ絵、石井睦美訳、光村教育図書 2025年 (2026/1/23)









