ふるはしかずおの絵本ブログ3

『ふしぎないきもの』- こんな友だちがほしいリキ

リキという名の子どもが見た、夢の世界です。

   

いきものがほしいや、とねがう リキ

   

 やわらかで、すばしこくて、うんと つよいやつ

 そらを とぶんだ

 うみだって およぐんだ

 まめつぶのように ちいさくなる

 やまのように、おおきくなる

    

いませんよ、そんなもの」と、おかあさんが いった

「この世には おらんな」と おとうさんが いった

  

    

リキが ベッドで ねていると

どこにいるかな? さがしてみろ!

という声がした

リキは ベッドの下に そのいきものを 見つけた

     

いきものと リキは

へやじゅうを かけまわり

すもうを とり

おしあい、もみあい

    

よし、こんどは 空を とぼうと、いきものが 言った

窓から とびたつ  

しっかりつかまれ、いいな!

リキをのせて、まいあがった

     

     

煙突だ

あっ、おちていく

まっしぐら、落ちていく!

ふたりは 海に ザンブと とびこんだ

いきものは おおきな さかなに なっていた

    

ほらあなに はいると

海の かいじゅうだ

     

 おおきくなれ おおいそぎだ、はやく、おおきく!

     

もう だいじょうぶ

いきものは、ゆっくり、海を およいでいく

尾ひれを グイとふって、むきをかえ

グングン 上に のぼっていく

    

水からでて

夜の空を とんでいく

リキの家が 見えてきた

ここにいてよ、というと

いるとも

一晩じゅう、リキの見張りを してくれた

     

      

あさ

おかあさんに いった

ぼくの 言ってた いきものだけど、この世にいるよ

いまは みえない ちっちゃくなった

でも、おかあさんには わからない

   

          ・・・

リキの夢の世界の「いきもの」ですが、どんな姿にもなれる、どんなことでもできる「ふしぎないきもの」です。それは、ちいさなリキの願望が投影されたものかもしれません。子どもは、ちいさくて力もありませんが、それだからこそ、なんでもできる「いきもの」に共感することでしょう。遊んでくれて、空も飛べて、海の底にも潜り、かいじゅうにも打ち勝つ、スーパーマンのような友だちです。

         

『ふしぎないきもの』は、リキの想像の力がひらいた世界です。この世界は、現実世界とは別の、リキのもう一つの居場所です。

   

パツォウスカーの描く「いきもの」は奇妙ですが、目に表情があり、リキをまもる存在です。センダックの『かいじゅうたちのいるところ』(冨山房)も同じようなテーマを描いています。

    

          ・・・

※『ふしぎないきもの』 アネリース・シュヴァルツ文、クヴぅエタ・パツォウスカー絵、池内紀訳、ほるぷ出版 1990年  (2026/1/24)

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