ふるはしかずおの絵本ブログ3

『しずかな おきゃくさま』- こぎつねの新しい友だち

かあさんぎつねは、「だれが きても、ドアを あけては だめよ」と

こぎつねに言って でかけましたが・・・

    

   

 トントントン

    

 「だあれ」

    

 「しずけさだよ」

     

こぎつねは

ドアを あけては だめよと言われていましたが、

「しずけさ」を 見たくなって

ドアを あけました。

    

しずけさは 中に はいり、

部屋中に ひろがりました。

    

 「おやつ たべない?」

     

ふたりは キイチゴを ゆっくり 食べました

  

 「おいしいでしょ」 

 「ああ、とっても」

       

 「ダンスは すき?」

 「すきだよ」

     

 「おんがくを かけてあげる」

 「おんがくを かけるなら もう かえるよ」

 と、しずけさが 言いました。

    

 「じぶんの しんぞうの おとを きいてごらん。

  それに あわせて おどるんだ」

    

 トクントクン トクントクン

    

こぎつねは リズムに のって、ステップを ふみはじめました。

  

    

踊り疲れた こぎつねが いいました。

   

 「そとで おとが しなくなったよ

 でも、じぶんの なかで、こえが してる」

      

 「それは、こころの こえだよ

  しずかに みみを すまして ごらん

  こころの こえが きこえるよ」

      

   

 「また きてくれる?」

    

けれども、へんじは ありませんでした。

    

   

ママが かえったとき、こぎつねは いいました。

 

 「ママ、あたらしい ともだちが できたよ」

   

           ・・・

「しずけさ」は、おはなしをする人物として描かれています。わたしたちの目には見えませんが、こぎつねには、ちゃんと見えています。この絵本のおもしろさは、こぎつねが「しずけさ」と一緒に過ごすなかで、その不思議さを感じていくところにあります。 

    

「しずけさ」は、何もない時間ではありません。耳をすますと、ふだんは気づかなかった音が聞こえてきます。「じぶんの しんぞうの おとを きいてごらん」という言葉は、こぎつねだけでなく、読者にも向けられているのかもしれません。

       

「しずけさ」が、こぎつねの新しい友だちになる不思議な出会いを通して、いつもは気づかないものに耳をすます時間を、そっと思い出させてくれる絵本です。 

        

             ・・・

※『しずかな おきゃくさま』 ヌリア・フィゲラス文、アンナ・フォン絵、宇野和美訳、光村教育図書 2024年   (2026/10/8)

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