ふるはしかずおの絵本ブログ3

『ONE DAY ホロコーストと闘いつづけた父と息子の実話』 

実話のもつ力が、読者のこころをとらえます。

 

   

ぼくたちは 

ハンガリー系ユダヤ人で、パリの中心部に 住んでいた

ナチス・ドイツと 闘うために、身をひそめていた

ぼくたちは 目を つけられていた

   

1942年12月28日

父とぼくは、フランス警察につかまり、ナチスにひきわたされた

コンピエール収容所で、

来る日もくる日も 岩をくだく作業を させられた

   

 その日を きりぬけたら

 次の日を きりぬける

 その日 一日だけ

 その日を終えたら、また次の一日を

    

    

ぼくたちは、ドランシー収容所へ 移動させられた

   

   

1943年9月15日

ぼくたたちは、仲間と トンネルを掘り、脱出しようとした

      

11月近くになると、

トンネルは 長さ 35メートルを 超えた。

あと少しのところで

ナチス隊員に 発見された

   

    

ぼくたちは、拷問をうけ

ボビニー駅で、家畜をはこぶ 貨車にのせられた

列車は 第62輸送列車

1943年11月20日に 出発した

    

     

ぼくたちは、隠しもっていた 道具で

貨車の鉄格子を はずして 脱出した

父さんが 飛びおりた

つづいて、ぼくたちも

 

父さんは けがをして

農家のメダール夫婦に かくまわれ、手当てをうけた

ぼくは メダール夫婦のしてくれたことを けっして忘れない

  

 

ぼくと 父さんは、パリで 再会することができた

ぼくたちは、きつく 抱きしめあった

     

      

ぼくらは、

ナチスとの闘いに もどったんだ

ぼくの名前は、ユージン・ハンチュー

父さんは オスカー

  

      

1200人を乗せた列車は どこへいったのか

あの日、列車から飛びおりたのは 19人

のこりの人たちは

アウシュビッツ=ビルケナウ強制収容所へ送られた

生きてもどれた人は 29人だ

  

 これは、ほんとうにおきた話

   

         ・・・

「あの日、ぼくたちの人生はかわってしまった」の文がくりかえされます。冒頭にあります。逮捕された日、トンネルを掘りはじめた日、トンネルが発見された日。そして、輸送列車に乗せられたときに、この文があります。そのときは、「ぼくたち」だけではなく、「ほぼ全員の人生がかわった」のです。日付の持つ力があります。

     

表紙のカバーには、生きて戻れなかった人の顔が描かれています。

アウシュビッツ=ビルケナウ強制収容所の解放、第二次世界大戦終結から 80年目にあたる2025年1月に刊行されました。作者と訳者の「あとがき」が参考になります。

       

             ・・・

※『ONE DAY ホロコーストと闘いつづけた父と息子の実話』 マイケル・ローゼン文、ベンジャミン・フィリップス絵、横山和江訳、鈴木出版 2025年  (2026/2/11)

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