ふるはしかずおの絵本ブログ3

『ふわふわくんとアルフレッド』- 他者の気持ちを理解する

「くんちゃん」シリーズで有名なドロシー・マリノさん(1912–2011 )の絵本です。

ふわふわくんの視点から、「ぼく」をたしなめ、やさしく見守る作者の目を感じます。

     

    

ふわふわくんは おもちゃのくまです。

アルフレッドとは あかちゃんのときから 友だちでした

   

 朝ごはんを 食べるときも

 コースター・ワゴンに のるときも

 テレビを みるときも

 寝るときも いっしょです

   

   

ある時、

アルフレッドは

あたらしい とらの おもちゃが もらいました

しまくん、という名をつけ、いっしょに あそびました

ふわふわくんは 

おもちゃ箱に ほうり こまれました

 

  

ある日のこと

おおきな木のしたで しまくんと あそんでいると

   

 「どうして ぼくも なかまにいれて くれないの?

  という 声がしました。

   

ふわふわくんが そばに 立っています

  

 「ぼくは、

  あたらしい とらの おもちゃと あそぶんだよ」

  

すると、ふわふわくんは おおきな木に のぼり はじめました

   

 「おりておいでよ。おまえと あそぶから」

 「ぼく、ここが すきなんだ」

     

   

アルフレッドは、泣きだしました

クッキーを もってきてくれた おかあさんに

木の上にいる ふわふわくんを ゆびさしました

 

でも、おかあさんは 手が とどきません

おとうさんを よぶことに しました。

     

ふわふわくんは 

もっと うえまで のぼっていきました

     

おとうさんも のぼれません

おとうさんは、長いぼうを さがしに いきました

 

 「おりてきてよ、おねがい」

    

 「まえみたいに ともだちになるかい?

   

 「ああ、なる!」

    

ふわふわくんは、じめんに おりました

そして、みんなで つみ木の家のなかに います

アルフレッドは、クッキーを わけています

   

    

おかあさんと おとうさんは 

どうして ふわふわくんが

木のうえに のぼり、おりられたのか、ふしぎでした

   

  どうしてだか

  わたしたちは しってますね!

   

    

アルフレッドは、あたらしいとらのおもちゃのしまくんが気にいって、赤ちゃんのときからの友だちのふわふわくんを、おもちや箱にほうり投げてしまいました。

     

でも、アルフレッドは、木の上に登ったふわふわくんに、遊ぶのを断られてしまい、泣きだしてしまいました。ふわふわくんに遊ぶことを断られたことで、かれは、おもちゃ箱に入れられてしまったふわふわくんの気持ちがわかったでしょうか。アルフレッドの気持ちまでは書かれていませんが、最後に、アルフレッドは、ふわふわくんとしまくんと遊んでいます。クッキーもわけています。ひとつ成長したアルフレッドです。

     

おもちゃのくまが、おはなしの途中から、「どうして ぼくも なかまにいれて くれないの?」と、突然、話だし、木に登ることに違和感をもたれるかもしれません。でも、これは、おはなしの世界です。ちいさな読者はふしぎとは思わないでしょう。

       ・・・

※『ふわふわくんとアルフレッド』 ドロシー・マリノ文・絵、石井桃子訳、岩波書店 1977年  (2026/2/4)

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