人気の絵本
『 はじめての おつかい 』 です。
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おかあさんに、
牛乳を買ってくるように頼まれた みいちゃん。
「 まま ちょっと いそがしいの。 ひとりで かってこられる 」
「 うん! みいちゃん、 もう いつつだもん」
100円をふたつにぎりしめ、
みいちゃんの はじめての おつかいです。
みいちゃんの 不安な心が、 とても よく表現されています。
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林明子さんの絵には、仕掛けが いっぱい。
みいちゃんの家の郵便受けの表札は、「 尾藤三 」。
「びとうさん」?
それとも、
「おとうさん」?
鳥かごから 逃げた鳥。 どこにいるのでしょうか?
みいちゃんが まがった道は?
ふたつの曲がりかどの どちらの道を 曲がったのでしょうか。
坂道でころんだ みいちゃん。
100 円玉を 落としてしまいました。
読者もさがしてあげましょう。
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行方のわからない ねこ。
「 さがしています 」 の掲示板があります。
どこに いるのでしょうか。さがして みてください。
「 絵の教室 」の「せんせいは はやしあきこ」。
「 音楽教室 」の掲示板。
どこで開かれているのでしょうか。
作者の筒井頼子さんと同姓の「 筒井商店 」もあります。
黒めがねのおじさん も登場。
林明子さんの他の絵本にも登場しています。
( お時間のある方は探してみてください。
ヒント『 あさえとちいさいいもうと 』 )
最後のページに、ままが、坂の下で待っています。みいちゃんが 心配で、ままは、家からはなれた坂の下まで、お出迎えです。
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それから、「 表紙 」。(上の絵) そこに描かれているのは、牛乳をかかえた 笑顔のみいちゃん。坂の下で待っている ままに向けて、笑顔いっぱいのみいちゃんです。ままのお出迎えがうれしかったのでしょう。そして、はじめての おつかいができたことが。
「 裏表紙 」には、 おかあさんが あかちゃんに ミルクを飲ませています。 ままに、すり傷の手当てをしてもらった みいちゃんも、いっしょに牛乳を飲んでいます。
画家の視線は、おつかいの様子を、俯瞰的に眺めるものであったり、みいちゃんを、見守る高さにあったり、みいちゃんの目の高さに あったりと、ドラマチックに構成されています。文と絵の両方によって、ゆれうごく子どもの心が、たくみに表現されています。
子どもの心を 知ることができる 絵本です。
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※『 はじめての おつかい 』 筒井頼子作、 林明子絵、 福音館書店 1977年 (2013/8/28)