ふるはしかずおの絵本ブログ3

『ちいさな うさこちゃん』- ブルーナ絵本の原点

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「うさこちゃん(ミッフィー)シリーズ」のはじまりの一冊です。
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おおきな 庭の まんなかの かわいい いえ。
うさぎの ふわふわさんと ふわおくさんが 住んでいる おうちです。
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ふわふわさんは、庭の花に お水をあげ、
ふわおくさんは、おそうじ、買いものと おうちの仕事。
ふわおくさんの 買いものは、
さやえんどうと 梨

あるばん、
天使が来て ふわおくさんに 言います。
あなたに じき あかちゃんが できますよ」。
まもなくして うまれた
かわいい あかちゃん。
ふたりは、うさこちゃんと 名づけました。
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あちこちから 動物たちが うさこちゃんを 見にきます。
ひよこを つれた にわとり、
ふとった うし。
うしは ていねいに おじぎをして 言いました。
あかちゃんが おうまれになって おめでとう。」

でも、
うさこちゃんは、こっくり こっくりこ。
くたびれて おめめが ふさがりました。
おとうさんの ふわふわさんは、おうちの 窓をしめました。
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誕生から50年以上もたった絵本とは思えない新しさがあります。
だいたんな構図とはっきりとした黒い輪郭線。あざやかな色彩構成。みどり、赤、青、きいろの背景色。これらは強い印象をあたえますが、同時に温かな感じもあります。
また、いつも正面を 向いている人物たち
静止した絵のようですが、顔やポーズに、かれらの内面が表現されています。文章との相乗効果もあり、シンプルでありながら生きいきとしています。人物たちの気持ちは、子どもたちにきっと伝わることでしょう。( 下の絵 )。
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「デザインはシンプルであることが一番大事。完璧であるだけでなく、できるだけシンプルを心がける。そうすれば見る人がいっぱい想像できるのです。これがわたしの哲学」(ディック・ブルーナ)

『ちいさなうさこちゃん』 ディック・ブルーナ 作・絵 いしいももこ訳、福音館書店 1964年
【 追 記 】
ブルーナさんは、2017年2月16日、故郷、オランダのユトレヒトでお亡くなりになりました。89歳でした。 謹んで哀悼を意を表します。
数多くある絵本の中から、1964年の出版(原作は1963年)の「ミッフィーシリーズ」の最初の一冊を選びました。ブルーナ絵本の特徴である、ちいさな正方形の絵本です。
また、石井桃子さんの訳は、ていねいな言葉遣いで あたたかい雰囲気があります。語り手は、読者に呼びかけるように やさしく語ります。「ね ひとつひとつ ちゃんと おみずをかけて やってます。」「まあまあ にわのまんなかに てんしが たっておりました。」「ふとった うしまで いましたよ。」              (2017/3/23)

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